第15話 ロシア元軍事司令官による証言
2022年頃 から2026年12月まで続いた出来事を《し》識っているかね? そう、ウクライナ戦争だ。
《おおやけ》公の場ではウクライナとの戦争だったとされているが、アメリカとも危うい事態は何度もあったのだよ。
そう、世間に公表できないレベルの出来事もね。
私が司令官として務めていた当時は、アメリカもロシアも秘密裏にミサイルを向け合っていた。
互いにどちらかが先制を仕掛ければ、核戦争の幕開けって状況さ。
そんな中である時、小型弾道ミサイルがアメリカに向けて誤発射されるという事件が起きた。
流石に焦ったとも、誰だって本心では核戦争なんか望んじゃいないんからね。
だがそのミサイルには満足な遠隔操作技術なんて搭載されてはいなかったし、一度発射されてしまっては止めようがない。
我々はもう放心状態でモニターに映るミサイルを見送るしか無かった。
あの場に居た誰もが絶望していただろうね、祖国を危険に《さら》晒してしまったって。
しかしミサイルが日本の本州を横断しようとした時だった。
地表から小さな影が我々の放ったミサイル目掛けて飛び出したのだよ。
日本が放った迎撃ミサイルかとも思ったが、どうにも様子がおかしい。
その影が触れた瞬間、ミサイルが一瞬だけ停止し、その後真下へ急降下していったのだから。
日本のことわざで空いた口が塞がらないという言葉があるようだが、当時の我々は正にそんな感じだったろうね。
幸い堕ちたのは民家の無い山林地帯だったから良かったものの、直ぐに我々は映像の分析と、日本政府へ緊急の謝罪をしに行ったわけさ。
日本側も第三次世界大戦の《ぼっぱつ》勃発を恐れていたようだったからね、北方領土の返還を条件に今回の事件を揉み消して貰えて良かったよ。
当時の大統領を説得するのは困難かと思われたんだが、幸いにもミサイルの映像が納得してもらえるための材料となってくれた。
その後大統領は秘密裏に高官を集め、皆に影の写真を印刷した資料を配ってこう言い放ったんだ。
「日本には手を出すな。我々が核を用いたとしても、彼等はそれを投げ返す術を持っている」
今や高官の間では有名な話だよ。
そして最近になって、この影が何事かを呟いていた事が判明した。
音声にして出力すると、こうなる。
『リア《じゅ》樹ぅは爆発でぇーっす!』
国防のためにも、君にはコレが何を言っているのか是非とも教えてもらいたいんだ。
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