注文の多い赤ずきん —第二夜—


 次の夜。

 私はまた同じ小屋を訪ねた。


 扉を開けると、床の上で赤ずきんが待っている。

 今度はもう既に、腹が割いてあった。


 そして部屋の奥には、火のついた窯があった。


「いらっしゃい。待ってたわ——今日は昨日より多く食べられるわよ。今見えている部分の内臓を、炙って食べるのよ。」

「生で食わせてくれ。」

「うふふ、ダメよ——ちゃんとルールは守らないと。私が生き返れなくなっちゃうわ。」

「……そうだった。」


 私は仕方なく言われた通りにした。

 焼いて人間を食べるのは——初めてかもしれない。


 感想としては、なかなか悪くなかった。肉が焦げると、生の時とは違う、独特の香ばしさがあるのだ。しかも、内臓ごとにその香りも多種多様——よりどりみどり。

 私はハフハフと肉を冷ますことに手をこまねきながらも、夢中でそれらを頬張った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る