女の子とぬいぐるみ

はぐれうさぎ

第1話

「うぅーん。

 ……あれ?ここどこ?」


 草原の真ん中で眠っていた女の子が見知らぬ景色を見て疑問の声を上げる。

 そんな女の子の前に、横から何かが飛び出してきた。


「あっ、うさたん!!」


 飛び出してきたのは、デフォルメされたデザインのウサギのぬいぐるみだった。

 草原のど真ん中でウサギのぬいぐるみが飛び出してきたことに対して気にすることなく、女の子が話しかける。


「あのね、ももね、起きたらここにいたの。

 うさたんはここがどこか知ってる?」


 それを聞いたウサギが女の子に向かって右手を差し出し、左手で草原の奥を示す。

 どうやら、奥に向かいたいようだ。


「向こうに何かあるの?」


 女の子もそれを察したのか、差し出された手を取ってウサギとともに草原を歩き出した。



 女の子がウサギとともに歩き出すと、すぐに森が見えてきた。


「森に行くの?」


 森に気づいた女の子が問いかけると、ウサギは頷きを返して足を速める。


「あっ、待って!」


 腕を引っ張られるような形になった女の子が慌てて追いかける。

 すると、距離があると思われた森まですぐにたどり着いた。

 そのことを気にすることなく、女の子がウサギとともに森へと足を踏み入れる。

 木々がまばらなのか、森の中は日差しが入ってとても明るかった。



「わぁ」


 森の中を進むと、大きく開けた場所へとたどり着いた。

 そこで目にした光景に女の子が感嘆の声を上げる。


「うさたん!イチゴがいっぱい!いっぱいあるよ!」


 目の前に広がるイチゴ畑に女の子が喜びの声を上げ、ウサギの両手を持って飛び跳ねる。

 そんな女の子の前に、新たなぬいぐるみが登場した。


「くまたん!」


 今度はクマのぬいぐるみが登場したらしい。

 イチゴ畑に目を向けると、そちらにもウサギやクマを始めとした様々な種類のぬいぐるみが現れていた。

 それに気づいた女の子が声を上げる。


「うさたんもくまたんも行こう!

 イチゴはとってもおいしいんだよ!」


 女の子がウサギとクマの手を取ってイチゴ畑へを駆け出す。


 イチゴ畑でぬいぐるみたちに歓迎された女の子は、差し出されたイチゴを嬉しそうに口に運ぶ。


「おいしい!」


 笑顔を浮かべた女の子がウサギとクマを振り返って手を差し出す。


「一緒にたべよう?」


 ウサギとクマが差し出された手を取り、ぬいぐるみたちの輪に加わる。

 ぬいぐるみたちに囲まれ、女の子はイチゴ狩りを心ゆくまで楽しむことになった。








「あら、寝ちゃったのね」


 キッチンで料理をしていた母親がリビングを覗くと、女の子がウサギとクマのぬいぐるみを抱きしめて幸せそうに眠っていた。

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女の子とぬいぐるみ はぐれうさぎ @stray_rabbit

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