口下手な君と

天風 繋

第1話

僕、芹沢 聡佑は困惑している。

その原因・・・目の前にいる黒髪の少女 松本 ほたるにである。

僕は、なぜかこの華奢な女の子に壁ドンをされている。

「連絡先」

僕は、とりあえずQRコードを彼女に渡した。

松本さんは、それを読み込んで連絡先を交換した。

「ありが・・・とう」

「こちらこそ、ありがとう」

松本さんは、スマホを見ていた。

やがて、僕のスマホに通知が来る。

松本 ほたるに通知がついていた。

『芹沢君、急にごめんなさい。

私口下手でうまく話せないからメッセでごめんなさい。

わたし、あなたの事が好きなの。

わたしを彼女にしてくれませんか』

僕の思考が、止まった。

急に壁ドンされて怖いと思ったがまさかそんな理由があったなんて。

僕は、深呼吸をする。

「えっと、松本さん。

僕、松本さんのことあんまり知らないんだけど。

どうして、僕と・・・その、付き合いたいと思ったの?」

すぐにピロンと通知音が鳴る。

『小学生の時に虐められていたわたしを助けてくれたあの時に。

私は、ずっとあなたの事を見ていたの。

でも、ずっとお話しできなくて・・・ごめんなさい。

困らせるつもりはなかったの』とメッセージが来ていた。

「え?小学校・・・虐め・・・ああ、確かに女の子を助けたことあるよ。

あれが松本さんだったんだね、ごめん。忘れてたよ。

そっか、僕のことをそんなに長いこと見ててくれたんだね。ありがとう」

すぐにピロンと通知音が鳴る。

松本さん、打つの早くねぇ。

『芹沢君、好きです。

私じゃだめですか?』と書かれている。

「ダメじゃないよ!

えっと、まだ松本さんの事そんなにわからないけど、そんな状態だけどいいの?」

ピロンと通知音が鳴る。

『私の事これから知っていって』と書かれている。

「じゃあ、よろしくね。

松本さん・・・いや、ほたるさん」

目の前にいるほたるさんの頬を涙が伝っていた。

僕は、ハンカチを取り出して涙を拭う。

ピロンと通知音が鳴る。

『不束者ですがよろしくお願いします。聡佑くん』と書かれていた。

こうして、僕は松本 ほたると付き合うことになった。

口下手でなかなかしゃべれない彼女との日々。

これから、どうなるのだろう。

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