私とぬいぐるみの奇妙な関係

夕奈木 静月

第1話

 一般に「ぬいぐるみ」に持つイメージってどんなものなんだろう? 「可愛い」だとか「愛おしい」なのかな?


 私は少し違っている。ショッピングセンターの売り場でぬいぐるみを見ると、「切ない」だとか「胸が苦しくなる」って感じのことが思い浮かんできちゃう。


 もちろんいい意味での「切なさ」も含んでいるんだけど、それだけじゃない。


 なんというか幸せの象徴みたいなところがぬいぐるみにはあると思う。だからそれが壊れる時の怖さみたいなものを無意識に考えてしまっているのかな、って感じる。


 もしかしたら記憶にもないくらい小さいころに私はぬいぐるみ関連で辛い目に遭ったのかもしれない。


 家に借金取りが来てぬいぐるみをさらっていったのか、家賃を払えなくなってぬいぐるみと一緒に夜逃げしたのか。


 まあ、これは冗談だけれど、なにかしら悲しいことがあったのかも。


 人生いつ、どうなってしまうかなんて誰にも分からない。だから今日を一生懸命生きる。


 その時に一緒になって頑張ろうって思えたり、癒しになってくれる偶像的な存在としてぬいぐるみを捉えることが出来れば素敵だな。


 辛いとき、苦しいときに自分の味方になってくれそうなものや趣味や人は、多ければ多いほどいいと思う。


 そんな選択肢の一つとして、『ぬいぐるみ』を純粋に「可愛い!」って愛でることができるようになりたい。


 私はお人形さんを結構持ってるんだけども、それらには感じないんだ。切なさとか苦しさって。どうしてかな。


 よし、今年は「明るいぬいぐるみイメージ」を持つべく、自分で縫って作ってみようかな。うさちゃんでも(笑)。


 自分で作ったらまた違う印象が持てるかもしれない。


 うさちゃんができたら、次はカメさんだね。大人になるまでぬいぐるみには変な抵抗があったけど、カメさんみたく後から起死回生の逆転ができるかも。


 数年後、自作ぬいぐるみのディーラーになってたりして。














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私とぬいぐるみの奇妙な関係 夕奈木 静月 @s-yu-nagi

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