健ちゃんの作戦

(とうとう始まってしまった健の作戦会議)


『聖夜っ!、まずは彼女の声を聞きたいと思

わないか?、なぁ?、そぉーだろぅ?』


『…』


『ハハハハッ…また顔が赤くなりやがった』


(相変わらず健のストレートな質問攻め)


『ちっちょっと健ちゃん!!からかわないで

よぉ〜、もぉ〜っ!!』


(ついつい焦ってしまい、心の内を気付かれ

ていた)


『わりー、わりー。でところでだ聖夜!、ま

ずはコンビニに行って温めて貰うものを買い

たまえ。いらっしゃいませ〜、だのありがと

うございました〜、じゃなくて、温まる感情

は人も物も一緒だろ?、なぁ?、そう思って

きたろぉ?、差すれば、すなわち!!…新た

な声!!、温まる声を聞けるであろ〜う』


『誰ですか〜?…全く!、まっ確かに俺はい

つも弁当買っていた時に家で温めてたから、

敢えて言われなかったら、いつもの様にだっ

たかも!、やっぱ健ちゃんすげぇ〜や!』


『そうだろ、そうだろ?、もっと、言え!!

そして俺を褒め称えよ!!、何〜つって!!』


『さっきから誰なの健ちゃんは?』


(こうして健と聖夜はコンビニに向かった)


『健ちゃん、なんかドキドキしてきた、やっ

ぱ帰るわ!!』


(ソワソワしながら後を振り迎えり、心を落

ち着かせるかの様に、その場を跡にしようと

していた)


『おいっ待て、そんなんで良いのか?、後悔

すんぞ!!』


(恋愛の醍醐味を知って貰いたい一心で説得

していた)


『だって、鼓動が耐えられなくて、其れに会

いたい気持ちが高過ぎて…、むっ胸が苦しい

!!』


『其れが恋だよ、俺も経験したからな、だい

ぶ昔に…、当時の俺も聖夜の様に耐えられな

かった、でも会いたい、その頃の俺を見てい

る様で…、後悔させたく無いんだ!!俺はあ

の時、何も出来ず、自分に負けてしまった…、

勝手に…なっ』


『このっ、健ちゃん…、が?』


『わっ悪かったな!!そっそうだよ、この健

ちゃんがだよ!!だから聖夜!!、本当の自

分に問いかけろ、このままで良いのかと!!、

お前には後悔させたく…、ない!!』


『分かったよ!!、健ちゃん、俺っ頑張って

みるよ!!』


(そして、コンビニに着いた二人は、ガラス

越しに話していた時だ)


『こんにちはぁ〜』


 それは紛れもなく彼女の声、斜め後ろ姿を

目にした俺は鼓動が耐えなかった。


『だっ大丈夫か聖夜?、お前顔が真っ赤だぞ

!!』


『だっ大丈夫です、けっ健さん!!参りましょ

!!』


『健さん!?、参りましょ?!、キャラが変

わっちまった、まっ、いっか…行くって言う

んだから!!』


(二人はコンビニの中へ入った)


『作戦通り行けよ聖夜!!』


 聖夜は、ぎこちない、まるでブリキ人形の

様に飲み物と弁当を手にしてレジへと向かっ

た、と思ったが…。


『温めお願いします』


『えっ!!、これは!?、サラダパスタです

が!?宜しいですか?』


 しっしまった、余りの緊張で間違えた。


『是非お願いします』


 何してんだ俺!!、変な奴だと思われちゃっ

たかな?


『クスクスッ!あっ、すみません!!またの

お越しをお待ちしてます。ありがとうござい

ます』


 俺は緊張と恥ずかしさとが入り混じって訳

がわからなくなっていた。


『はぁ〜っ、何してんだ、全く!!』


『おっ来たきた!、どしたイケメン君!!、

浮かない顔して!!』


『弁当を取ったつもりがサラダパスタでしか

も、温めて貰ったんだけど…、その後、少し

笑われた、きっと変な奴だと思ったんじゃ無

いかなぁ〜、どぉ〜しよう?』


『ハハハッ、そんな事はない、何故なら、も

しも変な奴だと思ったら、笑わないよきっと

!!、聖夜の滲み出た笑いの神が舞い降りた

んだ、この健さんが言うんだから間違いない

!!、そして好感度上がっているはずだ、初

版にしては上出来だ』


 俺は、そんな健ちゃんの気遣いに救われた

気がする、今度こそ、ちゃんと弁当を取る!

!、そう自分に言い聞かせていた。

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