分からない(瑠奈視点)

 私はベッドに寝転び、布団に潜りながら今日のことを思い出す。


 れーなとキスをした。

 嬉しい。思い出すだけでも、顔が熱くなって、胸の奥から嬉しさが込み上げてくる。

 でも、れーながどういう気持ちで私にキスしてきたのかが分からない。

 れーなは私のことを好きって言うけど、それは幼馴染に対してのやつだとキスをされた今でも思う。……だって、本当に私のことが好きなんだったら、何か少しでも動揺があってもいいと思う。……れーながあんまりそういう動揺とかしても顔に出ないのは知ってるけど、普通好きな人とキスした後に時計なんて気にすることなんてないと思う。いくられーなでも、それはないと思う。


「分かんないよ……れーな……」


 私はそう言い、枕を抱きながら、いつの間にか眠りについていた。






「それじゃあ、鈴々菜のこと任せたわね〜」

「はい! 任せてください」


 そう言ってれーなの家に来た私は、れーなのお母さん……私にとっては未来のお義母さんが仕事に行くのを見送る。

 

 お義母さんを見送った私は、多分まだ寝てるれーなを起こしに行こうと、私はれーなの部屋の前まで来て、小さくノックをした。この前みたいにまたれーなが起きてて、着替えてるかもしれないし。

 特に返事が帰ってくることはなかったので、私はそっと部屋に入った。

 部屋に入ると、れーなが寝息を立てながら、まだ眠っていた。

 ……可愛いなぁ。


「キス、したんだよね……」


 一瞬だったけど、柔らかかった。

 そう考えると、自然と眠っているれーなの唇に視線が行ってしまう。

 ……そろそろ、起こさないと。

 れーなの唇から無理やり視線をずらし、時計を確認した私はそう思い、れーなを起こす。


「れーな、起きて。朝だよ」

「…………ん、瑠奈?」


 れーなが寝ぼけた目で私を見て、名前を呼んでくる。


「おはよう。れーな」

「……早い」


 スマホを確認したれーながそう言う。

 早い? もう十分いい時間だと思うけど。……この前だってこのくらいの時間には起きてたし。


 れーなは目を閉じ、また眠りにつこうとしていた。


「れーな、もうどうせ後ちょっとしか寝れないから、起きよう」


 れーなって朝弱いタイプじゃなかったはずなんだけどな……


「……ん」


 れーなはゆっくり体をベッドから起こしたけど、そこで止まって、目を閉じて行ってしまう。

 ……昨日眠れなかったのかな? ……もしかして、そんなに私とキスしたのが嫌だったのかな。いや、でも最初はれーなからしてきたんだし……

 でも、れーなはこれで我慢してって言ってたし、それ以上のことをされないように、嫌々キスしたのかも……

 

「……れーな、キス、していい?」

「…………今?」


 れーなは眠たそうにそう聞いてくる。

 それが嫌だからなのか、ただ朝だからそう聞いてくるのかは分からない。


「……うん。今」

「……好きにして」


 ……れーなはいつもこう言ってくる。


「そうじゃなくて、れーなはしたい?」

「……瑠奈のしたいようにしたらいい」

「……したくないってこと?」

「……違う。……したい」


 私はれーながそう言った瞬間、れーなの唇と私の唇を重ねた。

 正直、したくないって言われても、私はする気だった。でも、したいって言われてする方が、いい。


「目、覚めた」


 相変わらずれーなはいつも通りだった。でも、自分からしたいって言ってくれたんだから、少しくらいは最初より私の事を幼馴染としてじゃなく、好きになってくれてるはず。

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