よく覚えてない
目が覚めると瑠奈の寝顔が目の前にあった。
私は反射的に離れようとしたけど、離れられなかった。瑠奈に抱きつかれてるからだと思ったけど、目が覚めてくると私も瑠奈に抱きついていることに気がついた。……なんで? よく思い出してみよう。昨日は確か……そう、瑠奈に、む、胸を触られて、それから……よく分からない気分になって……だめだ、そこからは覚えてない。
私は今の時間を確認するためにスマホを取ろうと思い、瑠奈を起こさないように手を伸ばすと、私の胸が瑠奈の胸に当たってることに気がついた。
……私はブラジャーを着けていない。そして瑠奈も着けていない……だからこそ、柔らかい感触が分かる。……これ、とんでもなくエッチなことをしてるのでは?
そう思った私は直ぐに離れようとしたけど、瑠奈に抱きしめられていたので無理だった。……多分もう時間も時間だし、起こした方がいいはず。もう少しこのままでも……という葛藤が無いわけでは無かったけど、このままの状態で瑠奈が起きて、私が変態だと思われるのは嫌だ。だから起こすことにした。冷静を装って。
「瑠奈、起きて」
ほんとはまだアラームがなってないから、起きなくてもいい時間なんだと思うけど、この状況がまずい。私の心臓が持たない。……だから、ごめん瑠奈。起きて。
「朝だから」
瑠奈が少しずつ目を開いてきたけど、まだ状況がよく分かってないみたいだった。
「おはよ」
「……れーな?」
瑠奈は私の方を見ると、そう言って抱きしめている腕に力を入れ、更に体を密着させてきた。
その瞬間瑠奈も胸の状況に気がついたのか、一気に顔を真っ赤にし、直ぐに離れていった。
……大丈夫。瑠奈も恥ずかしかっただけ。嫌な訳じゃないはず……だって昨日は瑠奈が勝手に触って来るぐらいだったし。
瑠奈が離れたことにより、腕を伸ばしても問題が無くなったので、スマホを取り時間を確認すると、やっぱりまだまだ時間の余裕があった。
「起こしてごめん。まだ早かったみたい」
そう言って私は瑠奈にスマホの時計を見せる。
「う、うん……だ、大丈夫、だから……」
「……じゃあ私はもう少し寝るから」
「えっ……」
瑠奈は違うかもしれないけど、私は時間一杯まで寝たい派なんだよ。
「わ、私も……」
そう言って瑠奈が少し近づいてきたけど、もう抱きついては来なかった。……少しだけ残念に思ったけど、私からはする勇気がないし、仕方ない。
そして私たちはアラームの音で目が覚めた。
目が覚めると、何故か私に抱きついている瑠奈と目が合った。……確かに私が寝る時は離れてたと思うんだけど。
「お、おはよう」
瑠奈が目を逸らしながらそう言ってきた。
「おはよ……」
私も挨拶を返し、ベッドから起き上がろうとすると、少し服がめくれて、お腹が出ていた。……寝る時にこんな状態だったら気がつくと思うし、私は寝相が悪いほうじゃないから……
「瑠奈?」
「ど、どうしたの?」
「……なんでもない」
瑠奈がわざわざこんなことするかな? でも、昨日は胸触ってきたし……まぁ、瑠奈ならいいか。昨日もいきなりだったから、ちょっと怖かっただけで、先にちゃんと声をかけてくれてれば大丈夫だったし。
「瑠奈、私着替えるから」
「わ、分かった」
どっちでも良かったんだけど、瑠奈はそそくさと部屋を出て行ったので、私は服を脱いで、制服に着替えた。もちろんブラジャーを着けて。
下に降り、リビングに行くと、もうお母さんはいなかった。……瑠奈が居るから大丈夫と思って、パンだけ置いて何も言わずに行ったのか。
「あ、瑠奈の下着帰ってきてる」
「う、うん」
瑠奈が手にブラジャーを持っていたので、そう言ったんだけど、何故か歯切れが悪い。
「で、でも……ぶ、ブラだけで下は帰ってきないみたいで……」
「そんなことある?」
「……う、うん」
「そう」
まぁ、お母さんも疲れてるだろうし、仕方ないよね。
「だ、だから……もう少しれーなの下着貸して欲しくて……」
「いいよ」
「い、いいの?」
むしろなんで私がだめって言うと思ったんだろう。……ここでだめって言ったら瑠奈は今からノーパンで学校に行くことになる。そっちの方がだめに決まってる。
「あ、ありがとう。今日……あ、明日、明後日には返すから!」
「いつでもいいよ」
「うん」
そう言う瑠奈はどことなく嬉しそうだったけど、理由はよく分からなかった。
私は瑠奈に早くパンを食べようと言い、一緒にパンを食べだした。
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