怪奇 ぬいぐるみを抱えた女
Tonny Mandalvic
第1話
インターネット上にはこのような伝説があるという。
馬のぬいぐるみを抱きかかえたまま電車に乗って競馬場に行く女がいるらしい。
ということだったので、JRや路面電車に乗って探してみることとなった。
まずは学園都市線に乗ってみた。
そうしたら当然ながらそんな女はいなかった。
次に函館線に乗ってみたらそんな女はいるはずがない。
逆に地下鉄に乗ったらどうなるのかやってみたら、いなかった。
今度ははこだてライナーだ。いない。
市電にもいない。
私は競馬場へ行ってみた。
最終日には大量の人がやってきた。
馬場を開放するからだ。
一緒に馬場開放に参加した。
すると大量にぬいぐるみを抱えている人がいるではないか。
その人たちはどこへ行くのだろうか。
駐車場に行くのだろうか。
連絡バスに乗ると誰もぬいぐるみを抱えている人間はいなかった。
そして私は電車に乗った。
周りにはぬいぐるみを抱えている人間はいなかった。
たまたま、自分は白毛の馬のぬいぐるみを持っていたので、ぬいぐるみを抱えて帰った。
家に帰り、そのまま寝ることとなった。
翌週、私はどういうわけか、場外馬券売り場に行った。
その下のグッズショップに行くためだ。
グッズショップには大量のぬいぐるみが置かれていた。
おい、ところで、ずっと売れている様子の見えない旧仕入れ値で仕入れたぬいぐるみを値上げするのはやめろ。
中の人の心の声がこぼれたところで、私は今の馬のぬいぐるみを大量に買っていた。
白毛、葦毛、栗毛、青鹿毛、鹿毛・・・・・・・様々な色の馬のぬいぐるみを買って、家具屋に行ってソファーを買って、家に送らせた。
どうしてそんなことを思ったのだろうか。
自分は不思議に思った。
ソファーが到着した。
ソファーの上に私は、買ってきたぬいぐるみを置くことにした。
ぬいぐるみを置いて、私は大画面で競馬を見ることにした。
馬券なんか当たらないから買わねえよとも思いながらいつの間にか携帯電話で馬券を買っていた。
すると、自分の買った馬が4着になった。
外れである。
どうでもいい。
そして、そのうち、ぬいぐるみに対して愛情が生まれてきた。
そして次の年に競馬に行くときには、列車でぬいぐるみを連れて競馬に行こうと思う。
おわり
怪奇 ぬいぐるみを抱えた女 Tonny Mandalvic @Tonny-August3
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