Story of Tale ~死して尚這い上がるランカー~
冬月 雪華 ID:Null-003
Prologue
Welcome to New world
西暦20XX年。突如として私たちの元へ新たな娯楽が飛んできた。
感覚共有が可能となった新感覚MMORPG、『History Tale Dungeon』。それが待望のリリースとなった。
昨今娯楽が変わり映えしなくなり、マンネリ化してしまった世の中を変えるべくとある会社が多額の出費と時間、そして何百人……いや、何千人規模のテストプレイヤーを用いて新たに作成されたゲーム。
それが“
リリース当初は有名になる……どころか赤字続きだった。ゲーム売り上げが最低値を毎度更新し、失敗かと思われたその挑戦。
しかし明くる日有名実況者が取り上げたことで人気が右肩上がり、鰻登りとなった。
それによりゲーム人口が当初の300倍、ほんのちょっとラグが発生する時があるやないや……程度のデータ量となった。
そんな世界で、とある人物は他プレイヤーと違い一目置かれていた。
ゲームの特徴である二つ名の機能。
特殊な業績を成したプレイヤーに自動で与えられるのが二つ名というものだ。そしてそのプレイヤーに与えられた二つ名。それは——
《原始の皇帝》。
リポップする魔物やそのプレイヤーが踏み入れていないダンジョンを最速で踏破しても、同じ称号は得られない。
彼女に聞いてみても『いつの間にかついていた』というばかり。
それ故に、プレイヤー間では共通の噂……もとい認識が出来上がっていた。
『Scarlet-Xはリリースし始めた頃にプレイし始めた最古参プレイヤーである』
理に叶っている、といえばそうだが実際が違えばただの笑い話であるはずだ。
なぜ、この噂が広まったのか。
それは至極単純な話で……。
『私はみんながいない頃からプレイしてる』、と公式的に発言したことだ。
なぜこんなことを言う気になったのかは未だ不明である。
そして、最強の最古参プレイヤーと呼ばれる“Scarlet-X”、その正体……。
それは——
「んん……っ、今日はこれくらいにしとこっかな」
器用にマウスを高速移動させ、ポーズ画面に持っていく。そして一番下に設置されたログアウトと書かれたボタンをクリックする。
するとタイトル画面に戻される。
「はぁ、今日でこれ始めてから大体一年半か……」
長いことやってるなぁ、とあくび混じりに呟く。
プレイヤーの正体。それは
現実世界が辛くなり一人ネットの世界に引き篭もる彼女はその辺の娯楽で遊ぶプレイヤーよりか遥に時間がある。
それ故の二つ名……そして力なのである。
「……ん、あれまだ11時?なら問題ないじゃん」
……そして、彼女は極端なズボラである。
「確かイベント今日までだし……。チャチャっとイベントで使うアイテム狩るか……」
再ログインし、いつも通り彼女はプレイする。
誰もいない、彼女しかいないゲームの世界。
いつもの疲労も加わり、寝落ちしてしまう夜風。
——時は回り、新たな日の始まりの0時。突如として……。
HTDのサービスは終わりを告げた。
Story of Tale ~死して尚這い上がるランカー~ 冬月 雪華 ID:Null-003 @WinterMoon_ID-Null-003
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