異世界なんでも配達員

兎神 入鹿

第1話 異世界はトラックと共に

「今日も1日お疲れさん! 俺!」

 1日の仕事が終わり水平線が薄っすらと明るくなってくる。もうすぐ夏至、明け方の4時半頃にもなると辺りは薄っすらと明るくなり出勤するための車か、道路にちらほらと車が走っている。

「やっと明日から連休だ! 何して過ごそうかなぁ〜、やっぱり積みゲーを攻略していくべきなのか? それとも作り置きのご飯のおかずを補充しておくべきか?」

 彼女無しの男1人暮らしだとやる事は大体こんなところだ……。


 明け方の国道を走る車内には大好きなバンドwacciの新曲が流れてドリンクホルダーのレッドブルの空き缶からは、あの薬じみた何ともいえない匂いが漂い仕事の終わりを醸しだす。

「明後日は秋葉原の方に配送だったな……。あっち方面は、かなり久しぶりだから路順覚えてるか怪しいな……」

 そんなことを呟きながら右折して木更津南ICに入り、集配センターのある船橋方面へ車を進める。


 しばらく進むと前方を走っている大型トラックが右へ行ったり、左へ行ったりとフラフラ蛇行運転をしている。

「危ないな、居眠り運転か? 明け方だし眠いのは分からなくも無いけど……。それだったらパーキングエリアで寝ればいいのに」


 何かあっても対処出来るように距離を取ろうとした矢先、前のトラックが右側の中央分離帯に突っ込み横転する。


 気がつき、ハンドルを切ってブレーキを思いっきり踏んだが間に合わなかった。

 横転した大型トラックにぶつかった衝撃でエアバックが作動したところで頭から血が垂る感覚とともに視界が徐々に暗くなり辺りは闇に包まれる。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る