フォーナイン 特別行動捜査官-出動録-
桜莉れお
トレーラー
2035年。ここ近年のIT技術の発達もあり、様々なものがシステム化されている。
だが、普通の人であれば特段変わらない日常であることには変わらない。こんな変哲のない生活も、数年後になって『あのときから結構変わったね』と美談に変わるだけだ。人のすれ違うあの渋谷の交差点を見上げれば見慣れた昔からある大きなヴィジョン。そこに移されているのは何気ない普通のニュース。
『さて、今日の東京の天気は――』
それを見ながら多くの人は今日も一日が始まるのだと、反応は千差万別だ。耳を当てれば、インカムのような小さな機械。国民全員に配布されたそれの電源を入れれば、ホログラムが現れ、人々は慣れたように空中を指で操る。
すれ違う人々の顔を視認すれば、氏名等個人情報が分かってしまう。そんな社会。
それでも彼らにとっては何でもない。普通の人であり、今日という日は平凡な一日。しかし、裏では――。
「特別行動捜査官。彼らの働きに我々は感謝こそしているが、なにせ所属している人物達は曲者揃いだ」
「――
特別行動捜査官。
警察庁警備局特殊警備部特別行動課に属する国家のために裏で動く特殊部隊員。国のためならば、スパイのような諜報役から警察のような現場に赴いて実行犯の取り押さえや制圧を行う、公安の何でも屋だ。
しかし特別行動捜査官になれる人間の半数は、ある特定の共通点がある。それは――。
「これで君はS級犯罪者となったわけだ、ご愁傷様」
「君に残された選択肢は、2つ。
一生外に出ることなく死ぬか、国のために働くかだ」
――国指定の選定条件によって決められる犯罪階級の違いこそあれど、犯罪者であることだ。
「ああ、全く。気が狂ってるよ。この国は。
――彼はまだ高校生じゃないか」
「やることはやります、これは俺のためにやるだけだ。別に国を恨んでいるわけじゃない、決してあいつのためではない」
「あっははは! これだからこの仕事は面白い!」
「だから俺は、この手であいつを殺さないと気が済まない」
『オペレーターより各位に通達。現時点をもって、任務を開始せよ』
「まあ国のためって言ってるけどさ、結局は生きたいだけなんだよ」
「どこかで野垂れ死ぬのは嫌だ。生き方死に方が選べるなら井戸の中にいる蛙ではなく、井戸を這いあがってでも海を私は知りたい」
「うちらは国のために死ぬ、それだけだよ」
「オペレータ―へ通達。公安部特別行動課所属、特別行動捜査官。
――これより、任務開始します」
――――
内容及びセリフ等が本編とは少し異なる場合がございます。ご了承ください。
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