娘たちとぬいぐるみ

星之瞳

第1話娘たちが欲しがったぬいぐるみ

私の子供は二人とも女の子。久しぶりの女の子の誕生で親戚からぬいぐるみを貰うことも多かったのだが、自分から欲しがったのは数回しかない。


長女4歳、次女2歳ぐらいの時だろうか、甥姪と一緒にデパートに連れて行ったことがある。甥姪に何か買ってあげるつもりだったのだが、長女が猫のぬいぐるみを持てきて欲しいと言う。その猫はオレンジ色で立った状態。おまけに目をつぶっているというか笑っているのか。その時は変なぬいぐるみだと思ったが、長女は「これがいい」と譲らない。後にそれが「みかん絵日記」の『ミカン』のぬいぐるみだと解ったがキャラクターのぬいぐるみが珍しいころなのによく見つけてきたものだ。長女が買うなら次女にも何かと思い、次女を探したのだがぬいぐるみが山積みされたところで上の方を見ている。どうやら大きなゾウのぬいぐるみを見ているらしい。それはとても買えないな、どうしようかと話していたら、長女が子象のぬいぐるみを持ってきて渡してみた。次女が受け取ってギュッとしたのでそれを買うことにした。近頃その話を次女にしたら「恐竜が好きだったから大きなぬいぐるみを見てただけだと思うよ。欲しいとかではなくて」と言われて「ええ!!!!」だった。


2回目は幼稚園の頃、水族館に行った時。いったん館外に出たのだが、父が「何か買ってあげる」と言って二人を土産物店の方に連れて行った。私は荷物番をしていたのだが、帰ってくると長女はペンギンのぬいぐるみ、次女は白いアザラシのぬいぐるみを持って帰ってきた。そんなに大きいものではなかったが気に入ったものを買ってもらってご満悦だった。


それからはあまりぬいぐるみを欲しがることもなかったのだが長女が高校を卒業するころ、水族館に行った。すると長女が大きなペンギンのぬいぐるみが欲しいと父にねだった。「お年玉代わりに買ってちょうだい」と言い、孫に甘い父快諾して買ってあげていた。1万円ぐらいしただろうかよく買ってくれたものだ。そのペンギンのぬい

ぐるみは気に入っていたのだろう長女が嫁ぐときに持って行った。


欲しがったのはこれくらいなのだが、貰ったものはたくさんある。二人ともぬいぐるみで遊ぶということは無かったし、長女が嫁いで、次女だけになり引っ越しの時「どうする?」と聞いたら「要らないと」言うのですべて処分した。それでも子供の頃にぬいぐるみがたくさんあったことはいい事だったと思っている。





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