第16話 動き出す天使達
「さて、話も
「調べるって言っても、どうなさるおつもりです? 隊長?」
アイクのもっともな疑問に、ハリスが返す。
表情こそ、いつもと変わらない。だが、眼差しは真剣そのものだった。
「そうですね。アイク、シャオの二人は基地内を探索してもらえますか? それぞれの
「……は?」
思わず訊き返すユーリと、静かに目を見開くロディ。だが、ハリスは気にすることなく話を続ける。
「今言った通りです。では、行動開始です」
有無を言わせぬ、見えない圧。
それを肌で感じ取り、それぞれハリスの指示に従う。
もっとも――。
(……こういうところが、隊長である所以なんだろうな……)
そう評しながら、ユーリは前を行くハリスの後にロディと共に続くのだった。
視線の端で、アイクとシャオが聞き込みに行くのが見えた。
(あの二人、大丈夫なんだろうな?)
少しだけ、不安がよぎる。
だが、気にしても仕方ないと気持ちを切り替えるユーリだった。
****
「それで? 私達に手伝え……という事は一体なんだ?」
ハリス、ロディ、ユーリの三人は今、トロイメライ戦隊の輸送機内の待機室にいる。調査と着陸、滞在の許可までは下りたが、基地内に自分達の分の部屋は用意されていないからだ。
(あの司令が意地悪いか、それとも隊長が断ったか? まぁ、いずれにせよ……色々面倒事を少しでも避けられるなら、それでいいが……)
「ロディ、ユーリ。お二人には、僕も含めた三人でのシミュレーターに付き合って頂きます」
「シミュレーター? なんで、今? つーか、それのどこが手伝いになるんだよ……」
ユーリの抗議に、ロディも頷く。
だが、ハリスは相変わらずだ。
「シミュレーターと言っても、ただの模擬戦とかではありません。あの
それを聞いた二人の顔色が、疑心から深刻なものに変わる。
「ハリス隊長。それはつまり……
「えぇそうです。なので、これからシミュレーションルームに向かいます。まぁ、輸送機内で起動できる程度なので、どこまで調整できるかわかりませんがね?」
「……いいだろう。私達とて、そのプランのことは承知の上で、各々の機体に搭乗しているのだから。なぁ、ユーリ?」
「あぁ……そうだ」
二人の言葉を受け、ハリスが先導して輸送機内のシミュレーションルームへと向かうのだった。
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