第3話 夢想の原罪③
都立
日本での呼称に合わせるなら、全日制の普通科高等学校だ。
そこに教育実習生として隊長であるハリスが自ら潜入している事実は、ユーリにとっては少し驚きだった。
(俺より年上とは言え確か二十五歳だったな? ……ハリス隊長が凄い人なのは重々承知だが、なぜ自らが? 普段ならそういうのは
隊の中で潜入工作がもっとも得意な人物の顔を思い出す。
(……だが、あえて……つっーことはなにがあるんだ? いや、なにが起こるんだ?)
疑問は尽きないが、今は指示に従うしかない。そう判断したユーリとアイクは、それぞれの愛機に搭乗して待機していた。
トロイメライ戦隊の主要兵器――対カタストロイ殲滅用人型機動兵器マシーネ・エンゲル、略してM.E.に。
通信越しにアイクの声が聴こえてくる。
『しかし、
これでもかと嫌味の入った言葉に、ユーリはげんなりしながら答えた。
「俺も知りてぇーよ……はぁ。それより、
アウス――カタストロイと共鳴し、信徒となった人間達のことであり……いずれは人で無くなる可能性がもっとも高い
彼らの研究は中々進んでいない。というのも、サンプル採取が極めて困難だからだ。故に、なぜアウスとなるに至ったのか? なぜ人類の敵となったのか? 不明なままである。
『当然ですよ、先輩? 名前はヒデハル・トキトウ、日本に合わせるなら
(こういう能力が高いのは、軍人としては間違ってないんだがなぁ……)
「……んじゃ、ハリス隊長の指示を待つか……ん?」
モニターを何気なく見た時だった。一瞬だが、妙な反応をした……気がする。
(なんだ?)
そう疑問に思っていると通信が入った。表示を見れば、ハリスからだった。
『二人とも、準備はいいですね? アウスが
その声を合図に、
人型だったはずのそれは融解し、機械に限りなく近いフォルムの
それを確認すると、二機の
白を基調とした機械の両翼が風を切る。
一機は黒いラインが全体に入り、右腕には鈍色に輝く
前者がユーリの駆るエルプズュンデ、後者がアイクの駆るトーデス・エンゲル。
今、悪魔と天使が対峙する――。
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