送る言葉
@Pz5
SIDE : A
ごめんね――
私はこの春から東京の大学に行きます。
そこは、オープンキャンパスや受験で何度も行った、とても素敵な処。
そこは、私が勉強したい事がいっぱいあって、将来に繋がる、とても素敵な処。
ベー君、今までいっぱいありがとう。
小さい時に私がねだった牛のぬいぐるみ。
何故牛なのか、当時の両親も今の私もわからないけど。
でも、とてもお気に入りの素敵なぬいぐるみ。
怖い夢を見た夜。
学校が怖くて落ち着かなかった日。
とても寒くて側にいて欲しかった日。
友達とケンカした日。
両親がケンカして怖かった日。
テストが上手く行かなくて落ち込んだ日。
素敵な人に出逢った日。
素敵な人とお話した日。
素敵な人に彼女がいた日。
ずっとずっと、側にいてくれたベー君。
今ではすっかりボロボロで、毛並みもはげてきたベー君。
目を縫い直したり、綿を詰め替えたり、何度も手術をしたベー君。
今までいっぱいありがとう。
でも――
ごめんね――
東京のお部屋はとても狭くて、あなたを連れて行く余裕がないの。
東京の環境はとても忙しくて、あなたを治す余裕がないの。
とても素敵な処だけど、あなたを連れて行けないの。
だから――
ごめんね――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます