第11話 勇者と魔王のショートコント Q

魔王

……はあ。


勇者

ウッホホーイ!!


魔王

……。


勇者

ヤッホー!勇者さんだよお!


魔王

……。


勇者

あ!こんなところに魔王の落としたハンカチが!!拾って臭い嗅がなきゃ!!


魔王

……。


勇者

クンクンクン!良い臭いがする!


魔王

……。


勇者

クンクン…!はやく突っ込めよ!!


魔王

……なんか、だるい。


勇者

ダルいってなんだよ!お前の大好きな勇者様が来たというのに!


魔王

……はあ。


勇者

(おかしい。いつもなら全力で否定するのに)


魔王

……気が済(す)んだら帰れよ。


勇者

帰らない!何故ならこれから一発ギャグやるから!


魔王

……はあ。


勇者

一発ギャグ「掃除機(そうじき)」


魔王

……。


勇者

スオオオオオオ(見ろ魔王!口の吸引力だけで床に落ちたハンカチを吸い寄せているぞ!)


魔王

……ツクシかお前は。


勇者

いやそのツッコミは違うだろ!かすってもねえよ!


魔王

もう全てが面倒臭(めんどうくさ)い。


勇者

面倒臭い?面倒?

メドューサ!!


魔王

ツクシかお前は。


勇者

メドューサだよ!!どこだよツクシは!?


魔王

もう放っておいてくれ。


勇者

そんなこと言ってると俺がこの魔王城を乗っ取っちまうぞ!良いのか!

世界のカップルどもを駆逐してしまうぞ!


魔王

パイナップルかお前は。


勇者

プルしか合ってねえ!


魔王

春だし。


勇者

(やばい意味がわからねえ!はっ!まさか俺が魔王に過剰(かじょう)なツッコミを強(し)い続けた反動で無気力になってしまったのか!?ここは俺が笑わせて元気にしてやるしかない)


魔王

まだ帰らないのか?


勇者

はい!今から「ドレミの歌」歌います!!


魔王

……。


勇者

アメンボ赤いなパピプペポー!!!


魔王

……はあ。


勇者

お?こんなところに尺八が落ちているぞ!吹こう!


魔王

……。


勇者

あ!尺八かと思ったら俺のチ〇コだったわ!


魔王

……。


勇者

お?こんなところにタンポポが咲いてるぞ!


魔王

……。


勇者

あ!タンポポじゃなくて俺のチ〇コだったわ!


魔王

……。


勇者

タンポポじゃなくてチ〇ポポだな!


魔王

……はあ。


勇者

つ、辛い……!魔王め眉(まゆ)ひとつ動かさねえ!やはりボケはツッコミが居ないと生存出来ないのか……!?


魔王

変態(へんたい)か貴様は。


勇者

ツッコミが10テンポくらい遅(おせ)えよ!


魔王

そろそろ死のうかな。


勇者

ま、待て!早まるな!お前が死んだら誰が俺のボケに突っ込むんだ!あと俺のケツに!


魔王

離せ。私はもう疲れたのだ。


勇者

待ってお願い!もう寝室に忍び込んだりしないから!もう下着盗んだり着用したり神棚(かみだな)に祀(まつ)ったりご飯食べさせたりしないから!!!


——ドアの開く音——


魔王2

帰ったぞ。


勇者

あれ!?魔王が2人いる!?


魔王2

ああ、それは私の留守(るす)応対用(おうたいよう)に作った傀儡(くぐつ)だ。


勇者

じゃ、じゃあ今死のうとしてるのは偽物で、お前が本物なのか?


魔王2もとい本物の魔王

そうだ。


勇者

本当かゲッペルボンバー!


魔王

その名で呼ぶな!


勇者

本物だ!やったあ!


魔王

なんだその確認方法は。ところで勇者。


勇者

ん?


魔王

先ほどの私の下着を盗んでいるという話は本当か?


勇者

え?い、いや!違うよ!ちょっと借りてるだけで……!


魔王

殺す。


勇者

許して!洗って返すから!


おわり

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