第2話 勇者と魔王とショートコント2
勇者
魔王オラァ!
魔王
なんだ急に。
勇者
俺はお前を許さねえ!絶対に許さねえ!
魔王
ククク、憎むが良い。愚かなる人間め。
勇者
なんだと!その前に俺がどうしてお前に怒っているのか聞け!
魔王
なんだ話したいのか?
勇者
いやそこは!「そんなに怒って勇者君らしくないよ。どうかしたの?」って親身になって聞いてこいよ!
魔王
彼女か私は!
勇者
違うわ!
魔王
なんで私が突っ込まれた感じになってるのか納得がいかない。
勇者
いつになったら話し始めて良いんだ俺は!
魔王
勝手に話せよ!
勇者
勝手にってなんだよ!お前それでも魔王か!
魔王
お前は魔王をなんだと思ってるんだ。
勇者
もっとこう!「私、もっと勇者さんのお話聞きたいな」みたいに上目遣いで聞いてこいよ!
魔王
キャバ嬢か私は!
勇者
キャバクラ《魔王城》
魔王
化け物しか出てこなさそうだな。……誰が化け物だ!
勇者
あれは昨日のことだった。
魔王
勝手に話し始めた……。
勇者
俺の泊まっている宿の隣で火事があったんだ。
魔王 ほう。
勇者
俺も消火活動に参加したんだが、どうやら中に娘が取り残されていたらしい。だが燃え方からして完全に「あ、これはもう助からないな」って感じだった。
魔王
諦めたのか勇者よ。
勇者
ところがドスコイ!
魔王
どっこいだろ?
勇者
なんと1人の青年が水をかぶり建物の中に飛び込んだ!
魔王 おお。
勇者
あー、あいつも死んだなって俺は思っていた。
魔王 お前ドライだな。
勇者
ところがわっしょい!
魔王
どっこい!
勇者
なんと青年は建物の奥で気を失っていた少女を救出した!
魔王
やるじゃないか。
勇者
そして意識を取り戻した少女とその男は熱い抱擁を交わしたわけだ。
魔王
めでたしめでたしじゃないのか?
勇者
そんなわけあるかぁ!
魔王
(なんかスイッチ入った)
勇者
そんなロマンチックな光景を目の前で見せつけられてみろ!俺の中のどす黒い感情が一気に沸騰しないですむだろうか焉(いずく)んぞぉ!
魔王
その漢字初めて見た。
勇者
俺は思った!魔王が悪いんだ!魔王がさっさとこの世界を滅ぼしてしまわないから俺がこんな嫌な思いをするんだ!
魔王
お前完全にこっち側の人間だな。
勇者
今日こそはおまえを倒す!そして俺が新たなる魔王となりこの世のカップルというカップルを地獄の底に叩き落としてやるのさ!
魔王
なんか今日だけは負けちゃダメな気がしてきた。
勇者
でもお前が結婚してくれるんならあきらめる!
魔王
お前最初からそれが目当てだろ。
勇者
イエスか!ノーか!
魔王
ノー!!!
終わり
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