あそぼ

勝利だギューちゃん

第1話

僕は陰キャ。

誰かとつるむよりも、1人でいる方が好きだ。


これは先天的ではなく、後天的。


昔は、友達と遊びたいと思っていた。

でも、僕へのいじめは激しくなり、いつしか他人という事に罪悪感を感じるようになる。

それが疎外感となり、それならばひとりでいた方が楽と、思うようになった。


出来る限り、被害は最小限で済ませたい。


「あそぼ」

しかし、物好きな方はいるようで、こんな僕に声をかけてくる人がいる。

同性ならともかく、高校生になって声をかけてくる女の子は普通はいない。


でも、彼女は毎日声をかけてくる。


「何かの罰ゲーム?」

あまりにしつこいので訊いてみた。


「あっ、やっと反応してくれた」

「質問に答えてくれ」

「違う。私はただ純粋に君と遊びたいだけ」

「小学生じゃないんだぞ」


漫画やゲームなら、「実はあなたの事、好きでした」と来るが、現実にはあり得ない。


「普通、僕みたいなはれものは無視するぞ」

「私、普通じゃないから」

「自分で言うか?」

「うん」


即答ですか?


「友達いるだろ?」

「ううん。いない」

「彼氏は?」

「いない」


嘘だな・・・


「で、何して遊ぶんだ?」

「これ?」

「UNO?」

「うん」


有無を言わさず、彼女は眼の前に座る。


「じゃあ勝負ね」


仕方ない。

少し付き合えば飽きるだろう。


「もし、私が勝ったら」

「勝ったら?」

「罰として、私の彼氏になること」

「僕が勝ったら?」

「私を彼女にしてあげる」


同じじゃないかい!


「間違いなく、何かの罰ゲームだな」

「ばれてた?」

「そりゃあな」


彼女はカードを配る。


「でも、私は罰ゲームとは思ってないよ」

「なぜだ」

「君と話す口実が欲しかったの」


カードを配り終える。

「じぁあ。遊ぼ」


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あそぼ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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