ミエルダ

@yuzu_dora

第一話 流されない男達

コンクリートの歩道。

茶色いポンチョを被った男①が隅に座っている。

そこに缶コーヒーを持った男②が現れる。

男②、男①に缶コーヒーを差し入れする。

男①、風に吹かれながら、缶コーヒーをゆっくり飲む。


男①

「俺は流されない。誰にも流されず、ここに留まっている。要するに一匹狼だ。」

男②

「先輩すげーっす!かっこいーっす!」


男①、風に吹かれる。


男②

「俺、ずっと疑問だったんすけど、ここ何なんですか?」

男①

「コンクリートジャングル。強い奴しか生き残れねぇ。」

男②

「へぇー。」

男①

「俺は流される奴らを沢山見て来た。」

男②

「でもでも。流されると良い事あるって噂、聞いた事ありますよ。」

男①

「これから流されるであろう奴らの、声無き叫びも沢山聞いている。

それは無い、と言う事だよ。」


男①、風に吹かれる。


男②

「……流されたら、どうなっちゃうんっすか?」

男①

「捨てられるのさ。」

男②

「……。」

男①

「お前も……。強くなれ。」

男②

「はい!」


遠くで男の断末魔。


女の声

「ぎゃあ!マジかよ。最悪なんだけどー。もう捨てなきゃ。」


鉄格子に擦り付けられる音。

段々と消えゆく叫び声。


男②

「こえぇ。」


男①、怒りを堪えているが漏れ出ている。


男①

「アイツらは本当に勝手だ。俺らが居なけりゃ死ぬしかねぇくせして、

粗暴且つ邪険に扱う。……俺はやられない。屈しない。」

男②

「俺も頑張るっす!」


草葉の陰から老人登場。


老人

「若造よ。その域じゃ。」

男①

「師匠!」

男②

「は、初めまして!」

老人

「わしらは流されちゃあいかん。散った仲間の為にも強くなるんじゃあ!」

①②

「押忍!」


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