枕人間

 いや〜、それにしてもまさか艶元さんがオレを好きだなんてなー。

 

 ぐふふふ。

 枕に顔をうずめてひとり喜ぶオレ。

 

「…お兄ちゃんキモっ」

 ⁉︎

 いつのまにかゆいが部屋に入っていた。

 

「もー、ゆいノックくらいしなさいよ。」

「あー、したよ?エアーコンコン」

「エアーじゃ聞こえませんよねー?」

「ねー」

「…ねーって。で?どうしたの?」

「あ、それがさ聞いてよお兄ちゃん!」

「ん?」

「お隣のお姉ちゃんね、好きな人いるんだって」

「あー」

 オレな。

 

「なんでも隣らしいよ」

「うん」

「隣の席なんだね。毎日好きな人の隣に座れるんだもんいいよねー」

 

 ⁉︎

 えっ?

 隣って…

 

 その隣かよーーー‼︎

 

 …って、そうだよな。

 

 あぁ、そうだよ…。

 うん。

 あるわけないよな…。

 だってオレ…なわけがないんだ。

 

 あははははは……。

 

 笑うしかないよ…。

 ほんとさ…。

 

 てかさー、勘違いでもさ…もう少しこの喜びを味わわいたかったよ。

 妹よ…

 

 オレ両思い!

 オレから告る⁈

 とかさ、どんなシュチュエーションでどうしてどうなる⁈とかさー、もっと妄想したかったですよーーー…。

 

 なのに…一瞬で撃沈…。

 

 さっきまで嬉しくて枕に顔を突っ込んでいたが、今は…撃沈で枕に顔を突っ込む。

 

「どうしたの?お兄ちゃん」

「あー、お兄ちゃんしばらく立ち直れないかもしれないなー…。てか、もう顔が枕になっちゃうかもしれない。ゆい…どうしよう」と枕に顔を押し付けながらいうと、

「あー、枕人間もありかもよ?さ、おやつ食べてこよーっと」

 と妹は、無邪気に行ってしまった。

 

 …妹よ。

 なんて薄情な…。

 

 枕人間ってなんだよ…。

 しかもアリかもよって…。

 適当にもほどがあるだろうよ…。

 

 てかさ、オレ決めた‼︎

 

 枕人間になるよ‼︎

 ってなるわけがない。

 

 何を決めたって…それは‼︎

 開き直りです‼︎

 

 もう散髪行きます‼︎

 月一きちんと行きます‼︎

 

 だから、せめて艶元さんに顔だけでも覚えてもらいたいです!

 

 同じ学校のお隣さんで認識してもらいたいです‼︎

 

 ということでばっさり短髪にした。

 しかも、まぶたに刺さりたくないならワックス使って上にあげるといいよ。と床屋さんでアドバイスまでいただいた。

 

 なのでばっさりさっぱり。

 

 すると…

 

 するとまさかの出来事が起きました。

 

 まさかの、まさかです…。

 

 

 

 続く。

 

 

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