第2話 婚約破棄の理由
数日後、婚約を破棄した理由が判明した。
事情を把握して戻ってきたお父様が、呆れたという表情で私に説明してくれた。
「どうやら、ジェラルド様は浮気をしていたようだ。そして、浮気相手に裏切られて女性不信に陥った。それで、エレオノールに婚約破棄を告げたらしい」
「え!? まさか、そんな理由で!?」
「……国王陛下も呆れていたよ」
私は開いた口が塞がらなかった。そもそも、浮気は駄目でしょう。しかも、浮気をしていた相手の女性に裏切られたとか。
それで、私のことも信じられなくて婚約を破棄すると言い出した。納得はできないけれど、理解はした。そういう事だったのね。
王太子と浮気して、しかも裏切るだなんて浮気相手の女性は度胸があると思った。許せないけれど、感心してしまった。呆れ半分、感心半分で複雑な心境だ。
逆に、浮気をしていた相手に裏切られて女性不信に陥ってしまったジェラルド様の方が情けない。その勢いで、婚約破棄まで告げてしまって。王太子という立場を理解していないのかしら。
その行為が、王国に対してどのような影響を与えるか考えていなかったのか。
裏切られたとこで女性不信に陥るぐらい、その女性を深く愛してたと、いうことかしら。周りの状況が分からなくなるぐらい、盲目的に愛していたのかしら。
なんだか、とても気分が悪かった。
私のことなど、愛していなかったのね。それなのに、愛しているかどうか問いかけてきて。話も聞かずに、浮気まで疑ってくる。そんな相手との婚約が破棄されたことは、私にとって良かった。
でも、 エルヴェシウス家にとっては良くないわよね。王族との婚約が破棄になって、お咎めなしとは思えない。最悪、我が家は取り潰しになる可能性だってあるかもしれない。それが、とても申し訳なかった。私が表情を曇らせたのを見て、お父様は安心させるように微笑んだ。
「大丈夫だよ、エレオノール。今回の件に関しては、ジェラルド様が全て悪いと国王陛下も理解しておられる。だから、王家からの罰はない。安心して良いんだ」
「そうですか。それなら、良かったです」
お父様の言葉に、私も安堵する。 エルヴェシウス家に問題がないのであれば、良かった。
しかし、この件が切っ掛けとなって、大きな問題に発展していく。
他の王族たちや大貴族の婚約関係が見直されることになり、調査が行われた結果、数多くの裏切り行為が発覚したのだった。
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