第16話
3月も半ばになると心地よい天候になる。
その、3月半ばに父親とされる人からの荷物がちょくちょく送られたり、運ばれて来るようになった。
おじいちゃん、おばあちゃんのいなくなった部屋にその荷物を運び込むとき、おじいちゃん、おばあちゃんが帰ってくる場所が本当になくなったんだ、と自覚し、寂しさを感じた。
家電は捨ててくるようで、荷物は服が中心だ。
それにしても荷物が多く、おじいちゃん、おばあちゃんが居なくなって空っぽになった部屋はすぐに埋まった。
3月も終わりになると、お母さんと父親とされる人が二人で、新しい生活に必要な家電を買いに行き、今までの家電を捨てることも加わった。
ずっと住み続けた家が、違う家になっていく気がしたが、新しい生活なんだからしかたがない、くらいに考えていた。
お母さんと二人で過ごす最後の日、二人でお酒を飲んだ。
「私のワガママに付き合ってくれてありがとうね。あのまま、おじいちゃんとおばあちゃんと4人で住み続けた方が幸せだったと思われないように頑張るからね」
僕は、気にしなくていいよ、なんて言ったと思う。
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