第2話
僕の産まれは下町だった。
正式にいうと下町だったようである。
どこで産まれたか、なんて親から産まれた病院を聞いただけだから、そこで産まれたようだ、である。
育ちも、産まれた病院の近くで、物心ついたときから、母親の実家で、おじいちゃん、おばあちゃん、母親の4人暮らしだ。
なんとなく、父親と会ったことは記憶があるが、声も顔もはっきりとは覚えていない。
今はシングルマザーがいても、ああそうなんだ、くらいだけど、当時はよく聞くものの、実際に会うことは少ないので、なんとなく、差別的な目でみていた人はいただろう。
何回か、父親がいないことで母親やおじいちゃん、おばあちゃんと口論したようだが、ある程度になると、治まったようだ。
治まった、というよりは、父親の話を誰がから聞くと、そんな親ならばしょうがないよね、と思ったんだと思う。
やがて、なぜしょうがないよね、なのかも、誰から聞いたかも忘れてしまった。そもそも、聞いてなくて、父親がいないのが当たり前になって気にしなくなったのかもしれない。
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