3. 相反するもの
3. 相反するもの
私が5歳になったとき、父親の書斎に入る許可をもらった。その日以来時間があれば本を読むようになった。難しい文字もあったけれど何とか読めるようになってきた。それと魔法についても調べ始めた。
『剣と相反するもの』それは魔法だ。という安易な考えではあったけど、何か行動に移さなければまた魔王と戦うことになる。それだけは絶対にダメだ。
といっても前世では全くと言っていいほど魔法とは無縁の生活を送っていたし、こうやって本を読むことなんてなかった。幼い私の頭では理解することは困難だったが、最初は魔力を感じることから始めた。毎日毎日魔法について調べていくことで、なんとなく原理がわかった気がしたので試してみることにした。
「えっと……確かこうだったよね」
右手を前に出し集中する。すると掌が熱くなる感覚を覚えた。それは間違いなく何かの力を宿していた。
「よし!これであっているはず!」
次にイメージをする。火のイメージをして魔法を詠唱する。初級の魔法なら使えるような、不思議な感覚と自信が私にはあった。
「ファイアボール!!」
唱えると手のひらから小さな火の玉が現れた。成功である。
「やった!!できたわ!」
初めての魔法に感動しているとドアの方から音が聞こえた。
「イデアちゃん何やってるの?」
「あっママ!あのね魔法の練習をしていたの」
「あらそうなのね。凄いわね~」
そう言いながら頭を撫でてくれる。とても気持ちが良い。
「ママも昔は魔法を使っていたのよ?イデアちゃんはママの魔法の能力が継承されてるのかもしれないわね~」
確かにこの年齢で使えるとは思わなかった。おそらく血筋で間違いない。なんて幸運なんだ。
「でも危ないからあまり部屋の中で使っちゃダメよ?怪我しちゃうかもしれないからね。魔法は人を助ける凄いものだけど、それと同時に危険なものだからね?」
「うん。気をつけるわ!」
でも良かった私には魔法の才があるらしい。『幼少の時剣術を学ぶ』これは1回目の人生でやったことだ。だからこそ今回の2回目の人生では絶対に通ってはいけない道だと思っている。せっかく魔法の才能があるんだもの。魔法だけを極めればいいわ。
「ママ。私もっともっと魔法の勉強したいから教えて!私は将来大魔法使いになる!」
「まぁ!それは素敵ね!じゃあママと一緒に勉強しましょ!」
「うん!」
こうして私の将来の夢が決まった。目指せ!大魔法使い!今さらだけど、私には微かに1回目の人生の記憶が残っているようだ。そのため精神年齢が高いままになっている。だからといって子供っぽく振る舞おうとも思ってはいない。ただこれが本来の自分だということを受け入れているだけだ。
そしてその日から私は魔法の訓練をしていくことになるのだった。
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