学生トーク「ぬいぐるみ編」
山田 武
学生トーク「ぬいぐるみ編」
「ぬいぐるみか……」
「ふーん…………面白い」
「えっ、お前なんでそんな乗り気?」
「いやいや、考えてみろよ。ぬいぐるみ、どこまでがその範疇かってことをよ」
いつものように少年の友人は突拍子も無いことを言った。
だが、少年は普段の対応とは違い少々興味深そうにすぐさまスマホを動かす。
「おっ、出た出た……要するに、縫ってあればぬいぐるみだな。いちおう、動物を模しているものを特にそう呼ぶらしいけど」
「そうか……じゃあ、人形と同じだな」
「らしいな。ただまあ、人形は人限定でぬいぐるみは全般みたいな感じだ。もちろん、縫う前提だからフィギュア系とは別物って認識になるけど」
検索結果を見せると友人は納得する。
何となくの認識はあっても、実際に調べてみないと分からない情報に関心を示した。
「けどさあ、ぬいぐるみってやっぱり女のことか子供が持っているイメージなんだよな」
「……いや、そうでもないぞ。考えてもみろよ、お前のイメージはそれこそ動物系のぬいぐるみだろう? だが、実際に周りを見てみれば見えるのは……」
「──あっ、そういうことか!」
言われた通りに辺りを見渡した友人。
そこには──同級生たちが付ける、キャラやアイドルのぬいぐるみがちらほら。
「さっきも言ったけど、別に人形も布系ならぬいぐるみだしな。というか、大人でもぬいぐるみは持っている人はいるだろ…………種類でいろいろと向けられる目は違うけど」
「…………まあ、うん」
脳裏に浮かんだイメージ──老人がテディベアを眺める姿と成人男性がアニメキャラのぬいぐるみを眺める姿を比べ、すぐに振り払うように首を振る二人。
「ただ、ぬいぐるみは布製品な分、ずっとそのままってわけにはいかないからな。これからずっと、それが主流になるかは分からないけど」
「あー、アクリル系の物だっけ? 最近はよく見るよな」
「ただ、それはぬいぐるみがよく並ぶゲームセンターのクレーンゲームなんかだと難しいからな……割れるし。その辺は、時代の進歩次第かな?」
「感触とか、あと子供が扱うのに割れ物はどうかと思うから、ぬいぐるみ自体は無くならないんじゃないか」
そして、彼らはぬいぐるみについて語り合うのだった──翌日、なぜか同級生たちの中でぬいぐるみを付けるブームが起きたらしいのだが……それはまた、別の話だ。
学生トーク「ぬいぐるみ編」 山田 武 @yahhoo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。学生トーク「ぬいぐるみ編」の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます