記憶の中のぬいぐるみ、二人の約束。
宮未 シユウ
1 思い出、君と過ごした時間
*
知らない、自分がなぜ、なぜそんなことをしたのか分からない。
このように、狂人のように暴走し、目をしっかりと前を見つめている。
でも、ちょっと心当たりが……。
海岸沿いの道路では、海風が、さわやかな塩の味を交えて、そっと顔に吹いていた。同時に、空気中に湿った水蒸気が漂っていて、清水で洗われて、心が澄んだような感じがします。砂浜は相変わらず。海水は、使いきれない力があるかのように、砂浜の歴史の痕跡を何度も洗い流している。
——すべて、海の恵み。
しかし、この美しく調和のとれた光景は二度と存在しないだろう。
振り向いて、遠くの空を見ると、それは自分のために純黒の幕をかけて、時々雷を身にまとって、自分の恨みを騒ぎ立てている。
——雨が降りそうだ。
時間が近づいてきたので、自分に言いた。
——ぬいぐるみ。
ぬいぐるみ、ぬいぐるみ、ぬいぐるみ、ぬいぐるみ。
ああ、思い出した。このわずかな手がかりのおかげだ。
しかし、自分がなぜそんなことをしたのか思い出した。
自分はどうしていつもそれらのことを忘れられないのか、なぜ最後に決心したのか、そして、なぜ心の中でこのような希望を抱いているのか。
——これはすべて彼女のためだ。
彼女のためだけに。
*
これは君のためだけだ。
俺たちがあの小さな庭で過ごした時間を覚えているか。もしかしたら、君は覚えていない。
——しかし、俺はまだ記憶に新しい。
「これは、おばあちゃんが手作りしたぬいぐるみだ」と言ったことがある。
「あげる」
その時の顔を覚えている。
真剣な姿、まだ伸びていないポニーテール、細い指、そして、無邪気な女の子らしい笑顔。
君の家族についてある程度理解していた。我が家と同じく、代々この漁村に根ざしている家族だ。おばあさんは優しい外見のおばあさんで、先祖から伝わってきた、美しい手工芸品を作ることができる妙技を持っている。
真っ白な毛並み、生き生きとした目、そしてしゃれたしっぽ。
——可愛い子犬のぬいぐるみだ。
「うん、きっと大切にするよ」
その時言いた。ただお礼を言うだけで、語調には他の意味はない。
君はもっと明るく笑って、顔はまだ少し赤いめまいに染まっていた。
……今でも、この笑顔は俺の頭の中に刻まれている。
「これはどこ……立海?」
色とりどりの服を着た人たちの間に挟まれて、君は少しうろたえていた。
でもこれらは、俺が君のために用意したサプライズだ。そのぬいぐるみと、その時の君の姿を、俺はまだ心に覚えている。
父が書斎に置いていた地図帳をこっそり持って行ったが、ざっとめくっただけで、地図の上で俺たちに一番近い町を見つけた。
「一番近い」と言っても、この小さな漁村までは25キロの道のりが必要だ。
——浜松。
クラスの流行服を着た同級生に尋ね、軽蔑した表情に耐えながら、彼らの言ったことを心に留めた。——今に至る。
25キロの道のりは、俺たちを疲れさせた。
でも俺はやはり元気を出して、君に笑顔を見せた。「さあ、面白いところを知っているよ」
道を尋ねた通行人の表情を見ると、俺たちはおそらく「おしりっ子」と「田舎者」の二重ラベルを貼られているだろう……さんざん苦労した後、やはり正しい場所を探した。
「わ——」
「立海、見て、ここにはたくさんのぬいぐるみが置いてあるわ」
「見て見て、おばあちゃんのぬいぐるみよりもきれいだ!」
驚きの表情を見て、俺も心の喜びを隠すことができず、気軽に笑った。
ポケットの中のお金を振って、コインたちはガチャガチャと音を立てた。これは俺がここ数年貯金してきたお小遣いだ。少し足りないかもしれないが、まずはそれらを使ってこの素晴らしい時間を楽しみましょう!
「立海——」
「……俺は大丈夫だ」
「でも……君の顔色はそんなによくない」
ベビーマシン。
俺たちはそれらに出会ったのは初めてだ。最初は手に入れたばかりで、レバーやボタンを使いこなすことができなかった。
すると、ポケットの中にコインの衝突音が聞こえなくなった。
興味も氷水にやられたように、体から湧き上がってくるのは、避けられない疲れだ。
君は、なぜか俺のそばを離れた。でも、すぐに戻ってきた。
君、もう――
——もう一度ぬいぐるみを俺たち二人の距離に近づけてくれた。
「これをあげる」
君はそれを俺に渡した。優しい感触が、あなたの指先から伝わってきた。それ以外にも、手に残っているのは、ふわふわした感じた。
——クマのぬいぐるみだ。
姿は、日本のキャラクターであるクマのイメージとは違って、西洋の味がしるが、同級生たちが口にしている「テディベア」か。
「なぜか、さっきカウンターにいたお姉さんが呼んでくれて、この人形もくれた。彼女は、これは私たち二人だけのプレゼントだと言っていたが、ルールにこのルールがあるのを見ていない——」
「ありがとう……恵乃。」
なぜか両手を伸ばして抱きしめた。涙が、思わず目にあふれた。
その時は笑いたいかもしれないね。13歳の男の子にもなって、こんな年齢に合わないように泣いている……。
でも。
でも、でも、涙は止まらないぁぁ。
その時、君への気持ちに気づいていた。
教えてあげたい、恵乃。
俺のお礼はお礼だけではない。
そして——
——実は、俺よ、ずっと——
記憶の中のぬいぐるみ、二人の約束。 宮未 シユウ @miyamishyuu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。記憶の中のぬいぐるみ、二人の約束。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます