依存
@sora0927
第1話
君はいつも変わらないねって笑う笑顔が好きだった。貴方の笑顔が特別綺麗に見えて、貴方といるとまるで周りがキラキラしているように見えて私は貴方といる時だけ自分が好きになれた。貴方の横で笑う自分が好きだった。
それだけだったのに貴方は消えてしまうんだね。いなくなったんだね。私を捨てていくんだね。それならば私が一人になるくらいだったら、貴方が隣にいない場所で生きていくくらいなら。
キラキラしていた世界に憧れていた。同じクラスの美香。ひとつ前の席。生まれて場所、環境も同じ。顔の作りも同じ。ただ違うことはあのこの世界はキラキラしていた。友達に囲まれて、男の子に囲まれていわゆる一軍というものだった。それに比べて私はどうだろう。友達もいない、もちろん男の子も寄ってこない。顔にはブツブツ。いつも下を見ているからか丸くなった背中。美香が羨ましくて今日もあの子を睨みつけた。そんな視線にも気づかず友達と話している。そんな無頓着なところを「フッ」と鼻で笑ってバカにした。教室からはどうせ私たちを比べた声が聞こえてくる。もうそんなの慣れているんだが?美香の一つ後ろの席で本を読むふりをしながらクラスの奴らを嘲笑った。私の性格は歪んでいるだろう。まぁそれもこれも美香のせいだ。ジロジロ見られる教室が疎ましく感じ、一限目が終わったばかりというのに私は自分のカバンを持って校門に向かった。途中廊下で教師にすれ違ったが、あきられているのか何も言わなかった。それには少し感謝しながら校門から出た。家に向かいながら専業主婦をしている母親になんと言い訳しようか考えながら歩いた。「お腹が痛かった」なんて言っても信じてくれないだろう。昨日使ったし。もう考えることも面倒になり、適当に「体調が悪かった」とでも言おう。帰り道の足取りが重くなる一方だ。
「ただいま」
リビングからは物音がしたが反応はない。無視か。まぁどうでもいいや。早く自分の部屋に行ってあの人に連絡したい。階段を駆けあがり自分の部屋のドアを開けた。部屋に入りスマホを取り出し、メッセージを開いた。一番上に出ているトークを押し、
「ただいま!学校サボっちゃった…」
と送った。まだ既読もつくはずもない。あの人は働いているもの。それでも返信が来るのを今か今かと待っていた。ベットにうつ伏せになり、足をバタバタ動かしながら待っていた
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