delete.

りげる

 


 


もしも、大切な人が命の危機にいたら。

そんなことは、考えるよしもなかった。






ボクの名前はショーマ。

今、この世界ではとんでもないデマが流れている。




「世界で、毎日尋常じゃない人数が亡くなっている」

そのせいか、今地球の人口は減少傾向になっているそうだ。


謎の病。大量殺人鬼。はたまた政府の陰謀?

さまざまな憶測が飛び交っている。


だけど、SNSのデマだし。

本当かどうかわからないし。

僕らはいつもと同じように過ごしていた。


そう、あの日までは…



◆ ◆◆



デマが広がって一ヶ月。

テレビでもそんな話題が出てくるようになったころ。



ユイが亡くなった。



彼女は、僕らのクラスメイトで誰とでも仲の良いいいヤツだった。

特に彼女と仲の良かったマリなんかは、一日中塞ぎ込んでいたそうだ。


それから、僕らの間でもなんだかシャレにならないような事態になったことを子供ながら知り、いろいろ推測した。

「宇宙人が来たんだ!」

「死神大量発生とか?」

「犯罪組織の仕業だよ!」

そうして、僕らの間の関係も徐々にギスギスしてきた。



◆ ◆ ◆



それから一年。

たくさんの人が亡くなって、僕らもいつ死ぬのかわからない状況。

お互いの会話も、もうほとんどなくなっていった。



ある夜。

「ん?」

布団の中だけれど、なんだか、自身の存在が薄くなっている気がしたのだ。

掛け布団の重さを感じない。

不思議に思いながら寝ることにする。




ふと目を覚ますと。


ボーン、ボーン。

12時の鐘が鳴る。



「ファ!?」

その時のボクはなんと、自身の体が細かいピクセル状になっていて、少しずつ消えてしまっている!



困惑に包まれる中、ふと考える。

「人々が亡くなっていたと考えられていたのは、これが原因か…」













◆ ◆ ◆


ここは天界。

男神は、コンピュータいにしえの機械を前に座っていた。

「バグ人類削除プログラムを実行しています…2143820765/7753000000」

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