二人のぬいぐるみ

伽藍青花

第1話 ぬいぐるみ

「はーい。今月の家庭科では、ぬいぐるみを作りますよー。自分をイメージして、作りましょうねー」

 家庭科の先生が、家庭科室の黒板の前で、生徒に向かって言う。


 一か月後の帰り道。

「そういや、くるみ。今日の家庭科でぬいぐるみ作っただろ。自分のぬいぐるみって恥ずかしいし、いらないからあげるよ」

「はぁ? 私もいらないんだけど……。はぁ。じゃあ、私もコレいらないし、あげるよ」

 くるみは、僕のぬいぐるみをため息をつきながら渋々受け取ると、くるみのぬいぐるみを渡してきた。


 その日の夜。

 僕は、もらったぬいぐるみを抱きながら、考える。

 くるみ、絶対に僕のこと友達だと思ってるよなぁ……。

 小学校からの付き合いだし。

 今更、好きだって言えないよなぁ……。

 そういや、このぬいぐるみって、自分をイメージして作るやつだよな。

 こいつになら……。

 僕は、ぬいぐるみに向かって、ポツリとつぶやいた。

 

 僕は、くるみのことが――

「好きだ」


――


「はーい。今月の家庭科では、ぬいぐるみを作りますよー。自分をイメージして、作りましょうねー」

 家庭科の先生が、家庭科室の黒板の前で、生徒に向かって言う。


 一か月後の帰り道。

「そういや、くるみ。今日の家庭科でぬいぐるみ作っただろ。自分のぬいぐるみって恥ずかしいし、いらないからあげるよ」

「はぁ? 私もいらないんだけど……。はぁ。じゃあ、私もコレいらないし、あげるよ」

 私は、登生のぬいぐるみをため息をつきながら渋々受け取ると、自分のぬいぐるみを渡す。


 その日の夜。

 私は、もらったぬいぐるみを抱きながら、考える。

 登生、絶対に私のこと友達だと思ってるよね……。

 小学校からの付き合いだし。

 今更、好きだって言えないよ……。

 そういえば、このぬいぐるみって、自分をイメージして作るやつだよね。

 このコになら……。

 私は、ぬいぐるみに向かって、ポツリとつぶやいた。

 

 私は、登生のことが――

「好きだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

二人のぬいぐるみ 伽藍青花 @Garam_Ram

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ