にゃんにゃんニャンドイッチ!

たるたるたーる

〜プロローグ〜

クリスマスイヴ


恋人いない歴=年齢の私。二海小麦〈ふたみ こむぎ〉25歳OLはカップルを横目に仕事から帰宅する。


今年も相手がおらず、ため息を吐きながら家に着くと二匹の猫が出迎えてくれた。


一匹はドアを開けると同時に私の元へと駆け寄り足に頬をすりすりし、頭を撫でるとみゃあみゃあ!と嬉しそうに鳴いている。


この子の名前はみゃーちゃん。


茶色と白の毛でハートマークの模様。


そして、甘えん坊な性格が特徴。


もう一匹はみゃーちゃんとは対照的で、ゆっくりと私へと近寄ると私を見つめて、別に撫でてもいいんだよ。撫でたければね。と言わんばかりに目の前に座り込む。


みゃーちゃんと同じく頭を撫でるとにゃふ…。と満足そうに鳴く。


この子名前はくーちゃん。


黒と白の毛で六角形の模様。


そして、少しクールな性格が特徴。


どちらも私の心を癒してくれる子で、思わず笑みがこぼれてしまう。


玄関で二匹の猫に癒された私は一緒に移動する。


着替えやお風呂などを済ませ、缶ビールを飲みながらコタツでぬくぬくしていると、少し酔ってきた私は二匹の猫に癒されながらも思わず愚痴をこぼしてしまう。


「ね〜!聞いてよみゃーちゃん、くーちゃん〜!」


どうしたの?と尋ねる様に鳴く二匹の猫。


「せっかくのクリスマスイヴなのに今年も私は相手がいないんだよ〜。会社の同僚は恋人と会うんだ〜って自慢してくるし〜。帰り道もカップルばっかだし〜。うぅ〜…。私も相手欲しいよ〜。え〜ん。」


言い終わると寝転び、酔っているせいか本当に涙が溢れてくる。


すると、そんな私の頬にすりすりとするみゃーちゃん。


くーちゃんもいつもと違い、すりすりしてくれる。


「えへへ〜。私にはみゃーちゃんとくーちゃんがいてくれるもんね〜。大好きだよ〜。」


二匹の猫の優しさにまた癒された私はそっと抱き寄せると、この幸せな気持ちのまま眠る。


はずだったのだけど、みゃーちゃんとくーちゃんからそれぞれネコパンチをされてしまう。


「え〜!なんでぇ〜!」


突然の二匹の攻撃に思わず驚く私だったのだけど、みゃみゃあ〜!にゃあ…。とそれぞれ鳴きながらコタツ布団を捲る二匹にやっと理解できた。


つまり、このまま寝たら風邪を引いてしまうからベッドまで行けということだったのだ。


主人の私よりもしっかりしている二匹にお礼を言うとベッドまで少しふらふらしながらも移動をする。


私がベッドに潜り込むと、右にみゃーちゃん、左にくーちゃんがそれぞれ丸くなる。


このポジションがいつも通りで、眠る時も並んで歩く時も二匹に挟まれサンドイッチ状態になるのが当たり前になっていた。


一人暮らしを始めた時に買ったベッドでは小さかったため、大きめのベッドに買い替えることになり出費がかさんだけど、この幸せの為なら全く苦にならなかった。


「えへへ〜。みゃーちゃん、くーちゃんおやすみ〜。」


そう言うと、二匹の鳴き声の返事を聞くと私は眠りにつくのだった。


次の日。


目が覚めた私。


まだ意識がはっきりとしないながらも、両隣にいるみゃーちゃんとくーちゃんに挨拶をしようと思った時だった。


なんだか動けない私。


というよりも両腕が抑え付けられている様で。


え…。え!?なんで!?と思い確認すると、なぜか両隣には知らない女の子がすやすやと眠っていた。


「は…。はぁ!?だ、だれ!?」


思わず大きい声で叫んでしまう。


「みゃ〜。なんですかみゃ〜。大きい声出さないでほしいですみゃ〜。」


「にゃふ…。うるさいにゃ…。」


私の叫び声で起きた二人。


「みゃみゃみゃ!?こ、これは!?」


「ん…。驚いたにゃ…。」


私の腕から離れると起き上がり驚いた表情で自分の顔や身体を触り出す。


なにがなにやらわからず、私が固まっていると。


「みゃ〜!人間の姿になれたみゃ〜!」


「にゃふふ…。あの話はほんとだったんだにゃ…。」


と、嬉しそうにする二人。


やっと動けるようになった私は起き上がり二人に質問する。


「あ、あの。ど、どちらさまですか…?」


そんな質問に首を傾げる二人。


というかみゃーちゃんとくーちゃんは!?と昨日一緒に寝ていたはずの二匹の姿が見えないことに気づき慌てて尋ねる。


すると、二人はニコニコしだし。


「みゃあ〜!ご主人様〜!みゃーがみゃーですみゃ〜!」


「にゃふー…。くーがくーだにゃ…。ご主人…。」


と言うと二人はそれぞれ私の両腕に抱きつきサンドイッチ状態にされてしまう。


突然の美少女達に抱きつかれたことにより慌ててしまう私だったけど、それよりも今は二人が大事なことを言っていたことが気になる。


「え、えっと。もしかして今自分達のことみゃーちゃんとくーちゃんって言ってた…?」


もしかしたら聞き間違いかもしれないので尋ねてみると嬉しそうに頷く二人。


だけど、私の言っているみゃーちゃんくーちゃんは猫であって、人間ではないのだけど…。


そのことを尋ねると二人は一旦離れ話し出す。


「実は昨日ご主人様と一緒に寝ていたら夢の中で赤い服を着た、白い髭の人が出てきたんですみゃ!」


「ん…。そこでその人が言ったにゃ…。ご主人思いの良い子にプレゼントをあげようってにゃ…。」


「なにがほしいかって聞かれたから人間にしてくださいってお願いしましたみゃ!」


「そしたら一日限定でいいならと言ってたにゃ…。」


「それで朝起きたら人間の姿になっていたんですみゃ〜!やったみゃ〜!」


「にゃふふ…。ご主人と同じ人間の姿…。嬉しいにゃ…。」


と、そこまで話すと二人は喜び合っていた。


にわかには信じられず、改めて二人を見てみる。


自分をみゃーちゃんだと言っている子は少し幼い顔立ちで。


自分をくーちゃんだと言っている子は少し大人っぽい顔立ち。


二人共美少女なのだけど。


ただ普通とは違っていて。


それに気づいた私は二人の話を信じざるおえなかった。


それは頭の上にはピョコピョコと動く耳が。


後ろにはフリフリと振られた尻尾が。


そして髪の毛はみゃーちゃんとくーちゃんの特徴である毛色と模様がそれぞれあったからである。


私が目の前に起こったことに唖然としていると二人は私の腕を掴み。


「みゃ〜!ご主人様〜!時間も限られてますので準備しますみゃ〜!」


「にゃふ…。ほら早くするにゃ…。ご主人…。」


と、言い私をベッドから出そうとする二人。


「じゅ、準備ってなにを!?」


「「それはもちろん」」


「クリスマスデートのですみゃ!」

「クリスマスデートのにゃ…!」


こうして私のいつもと変わらないはずのクリスマスは、信じられないような出来事から始まるのであった。




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