兵器の子らは翼を駆って/The Wing-Gun Sister【応募版】
永久凍土
モノローグ
もう色々大変なのよ、職場が移って。
私ね、「ちょうえつこうぞうたい」とかいう人類の脅威、それと戦ってるの。
もちろんお父さんも知ってるよね。
タワシのお化けみたいなやつ。黒くて、すっごく大きいの。
ドーム球場二個分かな? え、喩え方が旧い?
と言っても、「WINGS」って子達のお手伝いをしてるだけなんだけどね。
ウィングガンっていうロブスターみたいなロボット飛行機に乗って。
そうそう、ばーんって撃って、どーんっとやっつけるの。
え、大雑把過ぎ? それ言ってるのお母さんでしょ。
いやいや、可愛い弟達のためよ。
叔父さん叔母さんにこれ以上迷惑かけられないしさ。
お金に目が眩んだって酷いなあ。
ぶっちゃけそれなんだけど。
という訳で、私ことミナミ・イオは少しだけ婚期が遅れると思いまーす。
ねえ、ちょっと聞いてる?
お盆には帰れるんじゃないかなあ。
お供えもの、奮発するから。
ところでお父さん。
私になにか隠し事、してない?
◆◇◆
二一一六年、外宇宙より「彼ら」は襲来した。
全長数百メートルの超大質量。人の大腿骨にも似た棒状の構造物が、幾重にも組み重なる運動機関。可視光の反射を許さない漆黒の巨躯。
次々に降下した彼らは大質量を以って地上のあらゆる生命を踏み潰し、「摂取」した。
まるで実体を持つ災害。主に太平洋沿岸の広範囲に甚大な被害を齎らし、行方不明者を含む現在の総被害者数は二千六百八十万人に及ぶ。
にも拘らず、その正体は未だ完全解明に至っていない。外宇宙の害獣か、或いは異星種族の侵略兵器か。人類は彼らを『
彼らが持つ
人類に為す術はなく、
そして十二年が過ぎ、彼らの存在は人類の日常になっていた。
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