1話目

【プロローグ】


 ゴロゴロ、ゴロゴロ


「暇だ」


 と呟いたのは高校2年の黒神 黒羽だ。


 まだ冬の寒さが残っている時期に布団にくるまりひたすら暇だと連呼していると


(ライン)


 携帯がなった。


 見てみると、前の学園の女子友だった。黒神は、数回転校している。ラインをおくってきたやつとは高槻にいったときに出会った友達だ。そしてその内容は


【やっほー】


 という呼びかけで黒神は


【うぃーす】


 と返し、やり取りが始まる。ここから3,4時間ぐらい通話して話すのがいつもの流れだ。話す頻度は月1,2ぐらい。条件はお互いが暇なときだけだ。


【いつもの日常】


 黒神が通うの、聖爛学園。この学校は、小、中、高一貫学園だ。もちろん黒神は高校1年のときに転校してきた。しかし、聖爛学園に通うのは初めてではなく、小学生のころ少しだけ通っていたこともある。

 この学園は昔、エリートが通っていたという学園だ。今は普通の学園だけど、それでも優秀な人材を輩出している。そんな学園に通っている黒神の気になる成績だがそこそこだ、テストの平均は確実に超えているけど高くもない。そんな感じだ。


(ガララ)


 黒神がクラスに入ると、いつものようにガヤガヤしていた。窓側から3列目の一番後ろの席に座ると、前の席のやつが話しかけてきた。


「おはよう」


 そう挨拶してきたのは、朝田 雅空。転校して初めに友達になったやつだ。雅空とは高校1年ときに出会い、2年もたまたま同じクラスになった。雅空は、黒神と同じ帰宅部で、同じゲームをしている仲間だ。そんな奴との最初の話は


「俺、B作ったぜ」


 と、雅空がスマホを見せてくる。ちなみにこの学校はスマホの持ち込みは許可されている。


「ふん、まだそこか。おれはB+までつくったぜ」


 と、自慢気にスマホを見せかえす黒神。


「なん   だ  と?」


 何の話かというと、今人気の育成ゲーについてだ。


「おま!どうやって作ったんだよ!」


「ふふ、それはな!いつも道理してたらできたんだよ!!」


「なんだってーーー!て、なるかアホ。ちぇ、たまたまかよ」


 このように雅空はノリがとてもいい。


「まぁまぁ、そういわずに貸してやるからさ」


「まぁいいや、有難く使わせてもらうわ」


 キーンコーンカーンコーン


 チャイムがなり、それえと同時に教室の扉も開く。


(ガラララ)


 担任の先生が入ってくると


「はーい、はじめるぞー」




 午前中の授業4時間を終えるとさっそく二人は駆け出していく。 向かう先は購買。この学院の購買には毎日数量限定のパンが発売されており、それを目当てで血眼になって追い求める生徒もすくなくはない。黒神たちと同じクラスの同級生はいつもの光景なので黒神たちを気にせず昼飯の用意を始める。


「昼飯だ!しゃ!いくぞ!雅空」


「おう!いくぞ!黒神!」


 購買は学院の一階にあるため階段へと向かう途中


「はぁーい、ストープ」


 進行方向からそんな声が聞こえてくるため二人は止まりは、、、、しない!なぜなら、いつものことだからだ。二人まるで脳がつながっているかのように目の前の人物の左右に分かれ、通り抜けようとする。


「「もらった!!今回は勝ちだ!」」


 がしかし、まるでそれを読んでたがごとくその人物は二人の襟首を捕まえる。当然、勢いが有り余っているので二人は前方へ体を投げ出す。


「「ぐへ」」


「もう、いつも言ってるでしょ!廊下は走らない!」


 二人の前に立ちふさがったのは、同じクラスであり学級委員長でもある四宮 瑠璃だ。日本の4大財閥の娘、正真正銘のご令嬢だ。しかし、性格は親しみやすく多くの生徒からは人気があり、先生からも信頼が厚い。


「なんで、四宮はいまの反応できるんだよ!」


 と、黒神の質問に四宮は


「なんでって言われても、単純だから?」


「なんで本人もわかってないんだよ」


 と、ガックシと肩を落とす雅空。


「じゃ、いつものとこ行こうか?ね、お二人さん?」


 にっこりと笑顔を浮かべる四宮。傍から見たらだれもが振り返るであろう美しい笑顔だけど、今の二人からみると悪魔の微笑みでしかない。


 観念して四宮に襟首をつかまれながら連行されている途中、ふと雅空がこんなことを言い出した。


「なぁ、黒神よ」


「なんだ?」


 四宮には聞かれないよう小さく会話をする常習犯二人。


「おれはあんな思いしたくないんだ」


「そりゃそうだろ。おれもそうさ」


「そうだよな。だから、、、犠牲になってくれ」


 隣を歩く黒神のほうを向き決め顔でいう雅空。


「、、、、はぁ??」


 しかしながら黒神は雅空の突然言いはなった言葉を理解できるはずもなく、間抜けな声を出してまう。 理解を追い付いていない黒神をおいて雅空はすぐに行動へと移る。


「なぁ、四宮」


「なに?雅空くん」


「俺の隣のやつ、お前の悪口いってたぜ?」


「な!!!」


 なんて言うことだろう。雅空という男、ありもしない事実を、まるで事実だったかのようにいい、黒神を悪役へと変えたのである。つまり仮にも友人でもある黒神を裏切ったのだ。


「へぇーー、そうなんだ。ふぅーーーん。じゃ、黒神君?今日は二人で行こうか?情報提供ありがとう、朝田君。」


 といい、左手に持っていた雅空の襟首を離す。

 雅空はすぐに姿勢を正し、四宮の方へ抜き直り敬礼しながら満面の笑みで


「はい、どういたしまして」


「な!!!このくそ野郎!!許さないからな!!生きて帰れるなとおもうなよ!!お前だけは、お前だけはぶっ殺しやる!!」


 そういいながら暴れる黒神だが、四宮により大人しくされまたしても連行されていく。今回は一人で。

 二人の姿が見えなくなったとこれで雅空は


「友よ、強く生きろ」


 そんなセリフを吐き、振り返る雅空。


 こうして黒神は地獄へ、雅空は購買へといくのであった。


 この一連の現場を見ていた廊下の生徒たちは


「「「あぁ、こいつらは一体なにがしたいのだろうか」」」

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