第12話続・佐渡島(2)
カスミさんから突然の電話を受けた現実超常ドキュメンタリー特派員は、椿と鹿波と道草の三人で再び佐渡島へやってきた。
指定した某所に到着した我々は、カスミさんの到着を待った。
鹿波さんは見た目は遠目にいつもと変わらなく見えるが、表情はひきつり両手は強く握りしめられている。視線も定まらず、そわそわしている。
母親とはいえ、顔を合わせるのは初めてだ。緊張するのは当然だ・・・。
待ち続けること十分、こちらに向かってくるご婦人が現れた。
ご婦人は三人のところに来ると、神妙な口調で名乗り出た。
「あたしが加藤カスミです・・・」
「あなたが・・・、お母さん・・・」
「あなたは鹿波なのですか?」
鹿波さんは頷いた、カスミさんは重苦しく口を開いた。
「知り合いから、あなたたちが私を探しているという話を聞いて連絡したの。」
そしてカスミさんは謝罪の言葉を述べた。
「あの時は本当にごめんなさい・・・、謝っても許されないのは解ってる。でも謝らせてください・・・」
そして深く頭を下げたまま動かなくなったカスミを見て、鹿波さんは口を開いた。
「お母さんに会えなくて寂しかった・・・、だからこれからはお母さんと一緒にいたい。もう離れないなら、お母さんのこと許してあげる」
「・・・ありがとう」
椿と道草はその光景を撮影しながら、目に涙を浮かべた。
「よかったですね・・・」
椿はそう呟くことしかできなかった・・、この感動的な場面を言葉で例えるのは、野暮なことだと思った。
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