パペッターのぬいぐるみ

みない

第1話

 いつものようにギルドで受けた依頼の魔物を討伐し、討伐証明部位を回収しギルドに報告する。

仕事を終えた後のパーティハウスで報酬分配をしているとき、ふとパーティを組んでいる人形使いパペッターの持っているぬいぐるみを見ながら、聞きたかったことを聞いてみた。

「そのぬいぐるみってどういう仕組みなんだ?」

「どうって?」

人形使いは首を傾ける。

「いや、戦闘中にでっかくなったりいつものサイズに戻ったり、魔法って言うにはおかしいような気がしてな」

パーティリーダーが頭を掻きながら疑問をぶつける。

「あー。確かにそういえばそうだねー」

人形使いは自分の使っているぬいぐるみが、大きくなったり小さくなったりすることは普通のことだと考えていたようだ。そのことに疑問をいままで持ったことが無いらしい。

「人形使いの先輩たちも同じように使ってたから、そういうものだと思っていたよ」

のほほんと言っているが、普通疑問を持つようなことである。

「そうか……。一回解体ばらしてみるか?」

「はっはっは。面白いことを言うね。元に戻せるかわかんないのに?」

声を上げて笑っているが、目は全く笑っていない。

「ま、そうだな。元に戻せるかわからないようなものを弄るのはリスキーだからな」

そう言ってパーティリーダーは、人形使いの頭をわしゃわしゃと雑に撫でてから自分の部屋へと戻っていった。


「うーん。どういう原理なんだろう?」

自分の使っているぬいぐるみを、色々な方向から見直してみるが、膨張魔法や収縮魔法。不壊魔法が刻まれているような形跡はない。

中綿が肥大化したりしている可能性もあるが、不壊魔法無しでは外の布が千切れてしまうだろう。

「一回本当に解体ばらしてみようかな」

鋏を手に取り、ぬいぐるみに手をかけようとする。

「え、えぇ?」

鋏で縫い糸を切ろうとして、糸がまったく切れないことに初めて気づいた。

この糸に不壊魔法が付与されていたのだ。

「そういうことか」

糸に不壊魔法をかけることで、布の繊維の一部だけに不壊魔法の付与だけで済ませてあったようだ。


人形使いのぬいぐるみには、壊れず汚れないように、ややこしい付与魔法の掛け方がされていた。

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パペッターのぬいぐるみ みない @minaisan

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