訳アリの女神様
不動のねこ
第1話 禁断の恋の始まり
夕暮れが沈む頃、学校帰りだった一人の少年が交通事故で亡くなった。少年の名は「琥珀」
という。
そしてこの物語は、その琥珀と幼馴染の女の子の物語である――――――
「……んっ? ここは?」
目が覚めるとそこは見知らぬ場所であった。
(あれ?俺って死んだはずじゃなかったけ?)
確か俺はあのときトラックに轢かれて……。ということはここって天国なのかなぁ~? そんなことを考えていると突然目の前に女神のような女性が現れた。
「えーっと、こんにちは!私は女神です!」
「こ、こんにちは……」
いや、いきなり現れて自己紹介されても……。
「あのぉ~、それであなたの名前はなんですか?」
そういえばまだ名乗っていなかったな。まずは自分の名前を言わないとね。
「あっ、はい!名前は琥珀といいます!」
「コハクさんですね。それでは早速本題に入りたいと思います。」
おぉ!やっと話が進むのか。それにしても本当に美人だなぁ。髪もきれいだし、肌だって白いし、胸も大きい……って何考えてるんだ俺は!?相手は女神様だよ!!失礼じゃないか!!
「コハクさんは先程亡くなったのですが、実は私達の手違いで死なせてしまったんです!!」
はいぃいいいいいいいいいい!!!???
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!どうしてそうなったんですか!?」
「それはこちらの手違いで間違えて殺してしまったからです!!」
うわああああああ!!! まじかよこの女神様……。
でも間違いなら仕方ないよね。うん、そうだ。きっとこれは夢なんだ。もう一度寝れば元の世界に戻っているだろう。よし、もう一回寝よう。
「すみません!間違って殺しちゃいました☆テヘペロ♪」…………..はい?
「今なんて言いました?」
「だから間違って殺しちゃいました♪テヘペロ♪」……聞き間違いじゃないみたいだな。
まあいいか、どうせ夢だし。もういっそこのまま流されてみるかな。
「わかりました。それじゃあとりあえず色々説明してもらってもいいですか?」
「はい!勿論ですよ!コハクさんの疑問を全部答えられるように頑張りますね!!」
それから女神様に色々なことを質問した。
Q1.自分はこれからどうなるのでしょうか? A.異世界に行ってもらいます。
Q2.異世界とはどんなところですか? A.剣と魔法があって魔物もいるファンタジー世界です。
Q3.チート能力とかもらえるんですかね? A.はい、ありますよ。
Q4.自分以外にも転生者っているんですか? A.いますよ。他にも沢山いるので安心してください。
Q5.自分の死因について詳しく教えてもらえますか? A.はい、わかりました。コハクさんは道路に飛び出した子供を助けようとしましたが、間に合わずそのまま死んでしまいました。しかし子供を庇おうとした姿はとても立派でしたよ。
Q6.ありがとうございます。ちなみに俺を殺したトラックの運転手には罪はないんですよね?A.はい、ありません。全てこちらの責任なので気にしないで下さい。
Q7.わかりました。ところで一つ気になったことがあるんですけど、もしかしてさっきからずっと裸足なんですか? A.そうですよ。それがどうかしましたか? Q8.いえ、なんでもないです。「こんな感じで大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。」
ふぅ~。これで一通り終わったかな。
「それでは最後に何か言い残したことはありますか?」
んっ?言い残したこと……ねぇ。特に思いつかないなぁ。強いて言うなら―――
「あの、できれば生き返らせてほしい人がいるんですけど……」
「えぇ~、めんどくさいなぁ……。」ボソッ…………へっ? 今なんか聞こえたような気がするんだけど。
「す、すいません!よく聞こえなかったのでもう一度言ってもらっていいですか!?」
「あっ、はい!わかりました!」
よかったぁ。空耳だったみたいだな。
「それでは改めて……コハクさんが助けようとした子供の親御さんにお礼を言いたいのですがよろしいですか?」
「えっと……それはつまり?」
「はい!コハクさんを元の世界に戻せるかどうかわからないので、もし可能であればコハクさんが生きていた世界でコハクさんの代わりにその親子にお礼を伝えてもらいたいのですが、ダメでしょうか?」
そういうことか。確かにそれだったら俺もお礼が言えるし、それに…… また会えるかもしれないしな。
うん、決めた! 俺はこの人の頼みを引き受けることにするよ! そして俺は女神様にこう言った。
俺は女神様の願いを聞き入れることにした。
すると女神様がとても嬉しそうな顔をしていた。
そんなに嬉しいのか?まあいっか。
それよりまずは名前を聞いておかないとな。
そういえばまだ聞いてなかったな。
それじゃあ名前を聞かないとね。
俺は女神様の名前を聞くことにした。
すると女神様が突然慌て始めた。
一体どうしたんだろう? もしかして俺が怒っていると思ったのかな? 俺は怒ってないよって言おうとして声をかけようとしたが、女神様が先に口を開いた。
あれ? なんだか様子がおかしいぞ? な、なんだろう? ものすごく嫌な予感がしてきた……。
うわああああああああああ!! まさか!! これはもしかして!! やばい!! これは絶対に!! 間違いない!! 死亡フラグだああああああ!!! うわああああ!! まじかよおお!! くそ!! 油断した! まさかさっきの一言が引き金になるとは!! なんてこった!! なんてことをしてしまったんだ!! 俺はなんて馬鹿なんだ!! せっかくのチャンスを逃してしまったのか!? なんてことだ…… なんてことをしてしまったんだ…… 俺は…… おれは…… オレガ…… オレノ…… オレガ…… コロシタ…… オレガ…… コノ…… ヒトリヲ…… ウワアァ…… ヤッテシマッタ…… ヤッチマッタ…… 殺っちまった…… 殺ってしまった…… 殺って…… 殺って…… 殺って…… 殺って…… 殺って殺って殺って殺って殺って殺って殺って殺って殺って殺って殺って殺って殺って殺って殺って殺って殺しまくりましたああああああああああああ!!!! ああああああああああああ!!!」
「きゃっ!!」
「あっ!ごめんなさい!!」
「い、いえ!大丈夫ですよ!!」
しまった!つい取り乱して叫んでしまった。でも今はそれよりも大事なことがある。
そうだ! 落ち着け! クールになれ!あの、女神様?」
「は、はい!なんでしょうか?」
「実はお願いがあるんですけど……」
「はい、わかりました。何でも言ってくださいね。」
よし!これで準備は整った。後は実行に移すだけだ。
「それで、何をすればいいんですか?」
「あの、さっきは本当にすみませんでした。」
「いえ、全然気にしないで下さい。私ならもう平気ですから。」
「ありがとうございます。それでは早速ですが、さっきの俺のセリフをなかったことにして下さい。さっきのは俺の勘違いだったということにしてもらえませんか?」
そう、俺が願うことはただ一つ。
先程の俺の発言を全てなかったことにする。
それだけだ。
だが、これには大きな問題点が一つある。
それは俺がさっきの言葉を忘れることはできないということだ。
そう、それはまるで呪いのように。だからこそ、この方法を選んだのだ。
もし仮に女神様の力で記憶を操作することができたとしても、恐らく俺は無意識のうちに思い出してしまう。
だからこの方法が最善なのだ。
俺は覚悟を決めた。
そして俺は女神様にこう言った。
女神様。今からあなたに二つの選択肢を与えます。一つ目は俺を殺したトラックの運転手に復讐すること。
二つ目は俺を殺したトラックの運転手を許すこと。
さあ、どちらを選びますか? コハクさん。今から二つ目の選択をしましょう。
私がコハクさんに提示する選択は、コハクさんが助けようとした子供の親にお礼を言うことです。
それではコハクさん。こちらに来てください。
コハクさんは私の前に来てくれました。
それではこれからコハクさんに選んでもらいたいと思います。
まず最初に確認したいことがあります。
それはコハクさんが選んだ道によってコハクさんの運命が大きく変わるということを理解しているということです。
コハクさんが望めば私はコハクさんを元の世界に戻すことができます。
しかし、もしここでコハクさんが元の世界に戻れば、この世界での出来事は全て忘れてしまい、そして元の世界での生活に戻ることになります。
その場合、当然のことながらこの世界で関わった人達とは二度と会うことはできなくなってしまいます。
また、もしも元の世界に戻らずこの世界で生きていく場合についても説明します。
まず第一にこの世界には魔法というものが存在しています。
その力は凄まじく、その力があれば大抵の困難は乗り越えることができるでしょう。
また、この世界の人の中には魔物と呼ばれる存在がいます。
その魔物は普通の動物とは違い知性があり、中には人間と同じような感情を持っている者も存在します。
そんな彼らと関わることも一つの生き方としてあります。
ただし、その場合には戦闘技術を身につけなければなりません。
そうしなければ、自分が死ぬだけでなく周りにいる人も危険に晒されることになるのです。
最後に、これらはあくまで私の考えであり、必ずしもそうなると決まったわけではありません。
しかし、それでも後悔しないようによく考えて決めてくださいね。
それじゃあさっそく聞いてみようかな。
俺は女神様にある質問をしてみた。
女神様。俺はどちらの道を選べばいいんですか? すると女神様が少し困ったような顔をしていた。
どうしたんだろう? 女神様はしばらく黙ったまま何も言わなかった。
俺は何か間違ったことを言ってしまったのだろうか? すると、急にハッとした表情になり慌てていた。
あれ? なんか様子がおかしいぞ。
もしかて…… 俺、やっちゃいました!? もしかして余計なこと聞いちゃったりしました!?
「えっと……ですね……あの……」
やべえ!!完全に動揺してやがる!! こうなったらなんとか誤魔化さなきゃ!! くそ! なんて言えばいいんだ!!…………そうだ!こういう時こそ相手の目をじっと見つめるんだ! これなら絶対にごまかせ……
「……ううっ……ぐすっ……ううっ……」
っておい! ちょっと待って! なんで泣いてんの!
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
ちょっ、マジで勘弁してくれよ! こんなところ誰かに見られたりしたらえらいことになるだろうが!って、なんでみんなこっち見てんだよ! 早く何とかしろ! こっちは必死なんだ!
「お願いですから泣かないでください!お願いですから!」
「だって……あなたは私のせいで……」
「大丈夫です!全然問題ないですから!むしろ感謝してますから!本当にありがとうございます!だからもう泣き止んでください!ほら!笑ってください!!」
俺は全力で慰めた。
とにかく謝りまくり、ひたすら褒めまくり、時には土下座までしてどうにかして許してもらうことに成功した。
ふう、危なかったぜ。
まさか泣くとは思わなかった。
でも、これでやっと落ち着いて話ができる。
「すみませんでした。取り乱したりしちゃって。」
「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。」
よし!作戦成功!! 正直かなり苦しかったんだけどここまでやってよかったよほんとよー! という冗談はこのくらいにしt・ それにしてもやっぱり綺麗なか顔立ちをしている。髪はとても長く腰まであるんじゃないだろうか。瞳の色は吸い込まれそうになるほど深く澄んでいるように見える。胸はないけど体型は悪くない。ってかむしろいい!! そしてさっきも思ったけど、めっちゃ美人な上に声まで綺麗だよ!! よし決めた! 今、ここで必ずプロポーズしてやるぜ!! 女神様!今から私、琥珀はあなたにプロポーズしようとしています。もしも、私にプロポーズを受ける準備があるというのなら今から私が口に出す言葉に返事をください。
私のお嫁さんになってください!あなたがいない明日なんか生きていく意味ないんです! 私のお嫁さんになってください!! 私、琥珀はあなたに一目惚れしました!! この世に存在するありとあらゆる綺麗な言葉、美しい言葉。そしてありとあらゆる愛の告白のセリフを頭の中で考え抜いた上で今こそ行動に移す瞬間が来たと確信した。
私はゆっくりと女神様の顔に自分の顔を近づける。
心臓が高鳴っている。
緊張がピークに達しようとしたその時だった。
突然、女神様が俺の唇を指先で押さえてきた。
俺は思わず動きを止めてしまった。……え? 一体何が起きたのか理解できなかった。
しかし、すぐに理解することができた。
それは、俺の目の前にいる女神様が涙を流していたからだ。
そして、彼女はこう言った。
「ごめんなさい。あなたの気持ちはすごく嬉しいのですが、その願いを聞くことはできません。なぜなら、この世界には人間ではない者がたくさん存在します。その中には人間に対して憎しみを抱いている者もいます。そんな彼らと関わってしまったら、きっと大変なことになってしまうでしょう。だからどうか分かってください。ごめんなさい。ごめんなさい。」……ああ、そうか。そういうことだったんだな。ようやく分かったよ。あんたがどうして俺のことを召喚したのかその理由がね。
そりゃあそうだよな。いくらなんでも都合が良すぎるもんな。
あんなにも優しくて思いやりがあって。
それなのに、その相手から拒絶されるなんてさ。
でも、それでも俺は……
「俺は諦めませんから。絶対に。絶対にいつか振り向かせてみせますから。覚悟していてくださいね。」
「え?」
女神様が驚いている。
無理もない。いきなりこんなことを言われたら誰だって驚くに決まっている。
だけど、俺はどうしても伝えなければならないことがあるんだ。
「俺は、俺は女神様のことが好きです。大好きなんです。だから、俺は絶対あきらめない。女神様を振り向かせることができるように頑張りますから。だから……だから俺と結婚してください!」
言えた。ついに言うことができた。今までずっと言いたかったことが言えてスッキリした気分だ。
さて、ここからが勝負どころだ。
どうする? どうすればいいんだ!? すると、女神様がクスッと笑った。
「ふふっ……」
どうやら笑い出したようだ。
これはどういうことだ? もしかすると脈アリなのか!? いやいやいやいや!落ち着け! まだ慌てる時間じゃない! まずは冷静になるんだ!
「えっと……あの……何かおかしかったでしょうか……?」
「ごめんなさい。ちょっとおかしくってつい……」
「はい。なんですか?」
「もし私が、あなたのお嫁さんになったら幸せになれると思う?」
「はい!もちろんです!」
迷うことなく即答してやったぜ!
「そっか。うん、わかった。じゃあさ琥珀くん。私のこと好きっていう証拠を見せてくれないかな。そうしたら結婚してあげる。」
「わかりました。それで何をしたらいいんですか?」
「簡単だよ。キスしてくれたらいいんだよ。」
は? 今なんて言ったこの人。
「き、キスって……本当ですか?」
「うん。」
マジで言ってるのか?
「ほ、本当にしなきゃダメなんですか?」
「うん。早くしないと誰か来ちゃうかもよ?早くしなよ。ほーら早く早く。」
くそ! やるしかない!
「じ、じゃあいきますよ。」
「いつでもおいで。」
俺は意を決して彼女の唇を奪った。
「……これでいいんですよね。」
「うん。これで契約完了だよ。これからよろしくね琥珀くん。」……え? 何が起きたんだ? よくわからないけど、とりあえず成功したみたいだしいいか。
よし!それならさっそく家に帰って結婚式の準備をしよう!
待ってろよ!俺の嫁さん! こうして、女神と結婚した俺の結婚生活が始まったのだった。……………… そして現在に戻る。
[続く]
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