第33話「震えて眠れ」

「え~、ここがこうであって……」


黒板に板書するチビでハゲの中年教師。

現在秀吉の属する1-Aでは

地理の授業が行われていた。


「でね、そん時アイツが

吹き飛んだワケ」


「なにそれウケんだけど」


授業中にヒソヒソと

お喋りをする

ある女子生徒2人。


「え~、で、ここは~……」


お喋りする2人を注意せず

黒板に板書を続ける教師。


「て、ワケなんだけど

やばくな~い?」


「クスクス

チョーウケる」


バァン!!バァンバァン!!


「いい加減にしろ!!!!」


教師は突然板書をやめて

教卓の上に置いてあった

出席簿を手に取り

それで教卓を何度も叩きながら

お喋りをしていた女子2人を怒鳴り付けた。


「お前らよ~!!!

さっきから後ろでのお喋りが

気になってしょうがねぇんだよ!!!

俺はよ~!!!自分の授業で

ヒソヒソ話されるのが

大嫌いなんだよ!!!

なんか舐められるみたいでよ!!!

俺はガキに舐められるのが

すげぇ大嫌いなんだよ!!!」


「「…………」」


教師の突然のブチギレに

ビビりまくる2人。


(朝っぱらからうるせぇカスだな)


机に座り欠伸をしながら

キレてる教師を眺めていた秀吉。


「!!

おい!!そこのお前!!

何欠伸してんだよ!!!」


教師は欠伸した秀吉に気付き

怒りの矛先を彼へと向ける。


「あ、すみま千円

眠すぎるが故に」


軽いノリで謝る秀吉。


「ッッッ!!!

ふざけんなクソガキャアア!!!!

それが教師に対する

態度かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


バァン!!バァン!!バァン!!

バァン!!バァン!!バァン!!


怒りで教卓を

出席簿で何度も叩く教師。


「幼稚だな」


「ああ!!!???!?」


「怒鳴り声をあげながら

物に当たりまくる……

大人の……社会人の行動とは

思えないよホント

まるで子供だ……

アンタみたいな幼稚な大人を見てると

尋常じゃないくらい

不快な気分になってくる」


「ッッッッ!!!!!

お前は……

くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!!」


怒りが限界突破し

意味不明の言葉を発する教師。


「日本語でおk」


煽る秀吉。


「きさまぁぁぁぁぁ!!!!!

殺してやる!!!!!」


教師はポケットからナイフを取り出し

秀吉の元に向かう。


「フン、馬鹿が……」


そう言うと秀吉は

席からバッと立ち上がり

目の前に向かってダッシュし

教師を羽交い締めにした。


「ッッッ!!!??

何だお前!!!??

何してんだ!!!??

離せ!!!!!!」


「関口篤次、今からお前に

不快罪で制裁を与える」


「な、何を言って……!?」


「ここじゃあれだ

フィールドを変えようぜ」


タッタッタッタッ


パリィィィン!!!


秀吉は教師を羽交い締めにしたまま

4階の教室の窓を突き破って飛び降りた。


「「「きゃ~!!!!!」」」


悲鳴をあげる女子生徒達。


「秀吉様!!!」


「秀吉!!!」


秀吉の身を案ずる寧々と茶々。

そんな2人の頭の中に

秀吉はテレパシーを使って

語りかけた。


「心配しなさんな、すぐに戻る」





~某廃墟~


「ぐぅぅ!!!!

ぬぅぅぅう!!!!」


先程の教師は縄で手足を

縛られた状態でいた。


「お前……!!!

教師の俺にこんな事して

どうなるか分かってんのか!!!?」


「ヘアッ!」


両手で"さぁ?"というポーズをしながら

ヒトデマンの鳴き声を出す秀吉。


「ッッッッ!!!!!

こんのガキャアアアア!!!!!

舐めてんじゃねぇぞがクソがぁぁ!!!!!

とっとと縄ほどけやぁぁぁぁぁ!!!!!

殺すぞゴラァァァァァァァァァ!!!!!」


「うるせぇハゲだな

チートON"お口チャック"」


「むぐっ!?!!?

むー!!!!むー!!!!」


口がチャックと化した教師。


「さて、ここらでちょいと

この虫けらの詳しいデータを

見ていきましょうか」


ブオンッ


秀吉はチートで教師の

データを表示した。




関口篤次(せきぐち とくじ)(56歳)


担当教科:地理


外見:チビ(165cm)、ハゲ


口癖:俺はガキに舐められるのが

嫌いなんだよ


備考:大学卒業後に民間企業に就職するが

きつすぎる業務に耐えられず約1年で退職。

その後は教員採用試験を受け今に至る。


毎年自身が受け持ったクラスの

初回の授業で生徒達に

下記のような

昔は悪かったアピール

キレたらヤバいアピールをする。


・「俺はよ~、昔暴走族にいてよ~

そこで毎日のように悪い事をたくさんして

数えきれないくらい

警察の厄介になったんだよなぁ~」


・「昔勤務してた学校で

授業中に居眠りしてた

舐め腐った生徒を教室にあった

清掃用具ロッカーに押し込んで

殴りまくっちまってよ

で、その時教室にいた1人の生徒に

先生!もうそのへんにしてください!って

言われてハッと我に返って手を止めたんだ

つまり何が言いたいかって言うとよ~

俺はキレたら何するか分からねぇんだ

だからお前ら俺をキレさす様なマネは

するんじゃねぇぞ?」





「………と、いう感じですけどね……

いや~……何というかね……

痛い……!痛すぎる!

暴走族にいて悪さしただの

キレたら何するか分からねぇだの

56歳にもなるジジイが言ってて

恥ずかしくねぇのかね?」


「むー!!!!むー!!!!」


「あと言いたいのは

教師ってのは

民間企業を1年で辞めるような

能無しのヘタレでも務まる仕事なんだな」


「むー!!!!むー!!!!」


「ていうか疑問に思ったんだけどさ~

ガキに舐められるのが嫌いな人間が

どうしてガキとバリバリ関わる

仕事してんだよ?アホなのか?」


「むー!!!!むー!!!!」


「お前どうせあれだろ?

人の上に立って威張りたいから

教職に就いたんだろ?」


「むー!!!!むー!!!!」


「心拍数やや上昇

図星のようだな………」


チート"究極聴覚"を使用し

関口の心臓の音を聞き取った秀吉。


「さぁ~てと

この幼稚な低能ジジイに

どんな制裁を与えようかねぇ~……」


「むふん!!むふん!!むふん!!」


「……何か言いたそうだな」


ジィィィィィィ


秀吉は関口のお口チャックを開いた。


「ぷはぁ!!!ハァ……!!ハァ……!!

申し訳ございませんでした!!!」


「あ?」


「私は本当に幼稚でした!!!

愚かでした!!!

とても反省しました!!!」


「………本当かそれ?」


「ええ!!もちろんです!!

もうこれからは

誠実に真っ当に生きていきます!!

なのでこの縄を

ほどいて貰えないでしょうか?」


「……しゃあねぇなあ……」


シュルシュル


縄をほどいた秀吉。


「エエエエエアアアァァァ!!!!」


バキィッ!


縄をほどかれた関口は

突如秀吉の顔を殴りつけた。


ドサッ


地面に倒れる秀吉。


「反省なんて嘘に決まってんだろうが

クソガキ!!!!」


バキィッ!バキィッ!バキィッ!

バキィッ!バキィッ!バキィッ!


倒れている秀吉に馬乗りになり

顔を何度も何度も殴る関口。


「ガキがぁぁ!!!!

よくも舐めたマネしてくれやがったな!!!!

これまでの礼を

たっぷりとさせてもらうぜ!!!!


「人を殴って楽しいか?」


「ああ!!………は?」


関口の隣に秀吉がいた。


「!!!???!??!

は?!!??」


なぜそこに!?という顔で

秀吉を見る関口。


「お前……誰を殴ってるか見てみ」


秀吉に言われ目の前を見ると

同僚の世界史担当の御手洗(55歳)がいた。


「かっ……!!ごはっ……!!

関口先生……!!なぜ……!?」


「お……御手洗先生……!?」


「あ~あ、ひっでぇ~

同僚の事を殴るなんて」


「ど……どうして……!?

どうして御手洗先生がここに!?」


実は秀吉は関口に殴られる直前に

チート"身代わり"を発動し

ここに御手洗を呼び寄せたのだ。


「どうしてなんて

そんな事はどうでもいいでしょうよ

それよりアンタ……

同僚に対して過剰な暴力を

振るってしまったねぇ~

これは警察沙汰不可避

懲戒免職は免れんぞ」


「あ……ああ……!!」


顔をひきつらせる関口。


「退職金はパァ

おまけに全国ニュースで

顔と名前を公開されるかもな」


「あ……あわわわ………!!」


震えだす関口。

そして秀吉は携帯を取り出し

110番通報をする。


プルルルルルルッ


ピッ


「あ、もしもし警察ですか?

馬鹿教師による暴力事件発生です

場所は◯◯区にある廃墟です

よろしくお願いしま~す」


ピッ


電話を切る秀吉。


「さてとチ◯カス……

もう少ししたらここに

ポリ公がやって来るから

大人しく捕まってくれや

んじゃ、俺は帰るから

バイビ~」


そう行って秀吉は

関口と御手洗を廃墟に残して

去って行った。


「ああ~……ああ~……」


放心状態の関口。

この男は後の裁判で暴行罪により

終身刑の判決を受ける事となる。






~1-A教室~


ザワザワザワ


「あの2人どこ行ったんだろ………」


「ねぇ……なんかヤバくないこれ?

他の教師達に知らせた方がよくない?」


教室の窓を突き破って落ちた

秀吉と関口の事で

ザワついていた生徒達。


ズガァァァァァンッ!!!!


「うわぁぁぁぁぁ!!??」


「きゃあああああ!!??」


噂をすれば秀吉が

教卓の真上の天井を突き破って

帰って来た。

そしてその衝撃により

教卓の前の席に座って

1人寂しくラノベを読んでいた

山岸君という男子生徒が

教室の後ろに吹き飛ばされ

重傷を負う事となった。

補足だが秀吉は山岸君に対して

何の恨みもない。


「王の帰還だ」


帰って来た秀吉は

教室内の生徒達を見ながら

ニヤリと笑ってそう言った。


「秀吉様~!!」


「秀吉~!!」


帰還した秀吉に走り寄って

抱き付く寧々と茶々。


「へへ、ただいま」


秀吉はそう言って

2人の頭を優しく撫でる。

するとその様子を見ていた

1人の男子生徒が

恐る恐る秀吉に向かって質問した。


「た……狸猿……

お前一体……何者なんだ……!?」


プチンッ!!


「その名で呼ぶんじゃねぇぇ!!!!」


ブンッ


パリン!ボワァッ!!


狸猿と呼ばれた事にキレた秀吉は

右手に火炎瓶を出現させ

それを今発言した男子生徒に投げつけた。


「ああああ!!!!!

熱い!!!熱い!!!熱い!!!」


全身をバタつかせ

燃え盛る男子生徒。


「チートON"放水"」


ドハァァァァァ!!!


ドガァァァァンッ!!!


秀吉は右手から

勢いの強い水を飛び出させ

燃える男子生徒にぶつけた。

そしてそれにより火は消えたが

水の勢いでそのまま後ろに飛ばされ

教室の壁を突き破って

男子生徒はどこか遠くへと消えていった。


「フン……まぁこんなもんだろ……ん?」


「「「「………………」」」」


秀吉は寧々、茶々を除く

教室内の生徒全員が自身を

バケモノを見るかのような表情で

見つめている事に気づいた。


「……丁度良い機会だな……」


そう言うと秀吉は教卓の上に立ち

懐からマイクを取り出し

教室にいる生徒達に語りかけた。


「おいお前ら

一連の流れを見て

分かってもらえたと思うが

俺はもう以前のような

気弱でヘタレで無力な人間じゃない

今の俺は人智を越える絶大な力を手にした

宇宙最強のチート人間だ」


「チ、チート人間……!?」


「そ、そんな馬鹿な!?

ありえない!!

そんなのゲームの中だけの話だ!!」


「フン……言ってろタコ

それよりお前ら……

最近この学校で妙な失踪事件が

起きまくってるのは知ってるよな?

実はな……あれは全て俺がやった事だ」


「「「!!??」」」


ザワつきだす生徒達。


「どうしてそんな事したか

理由を聞きたいだろ?

答えは簡単さ……復讐だよ」


「ふ、復讐!?」


「ああそうだ

今まで俺をいじめたり

不快な思いをさせた罪での復讐さ」


「「「………ッッ!!!!」」」


「フフフ……今の聞いて

やべー!自分も当てはまる!って奴

大量にいるだろ?」


「「「………………」」」


「なぁ……分かってると思うけど

一応言っておくぜ?

俺は今この場にいる

過去に俺をいじめたり

それに加担したりしてた奴全員に

これから復讐していくつもりだから

よろしくな」


「「「………ッッ!!!」」」


秀吉の発言に

教室内にいた半数以上の生徒達は

青ざめた表情になる。


「あ!それから最後に!

転校したり引っ越したりして

逃げたって無駄だからな?

チート能力を使って地獄の果てまで

追いかけてやるからよ~!」


ジョバ~


恐怖で小便を漏らす複数の生徒。


「ハッハッハッハッハ!!!

クソカス共!!!

今迄の自分の愚かな行いを

後悔するんだな!!!

そして復讐されるまで毎晩震えて眠れ!!!

バカ!アホ!ボケ!カス!ゴミ!クズ!

Go to hell !!!

さ、2人共帰ろうか」


クラスメート達に宣戦布告した後に

秀吉は寧々と茶々を連れて

教室を出ていった。

ちなみに先程重傷を負わせてしまった

山岸君はきちんと治してあげた。

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