第26話 どういう状況?
ショッピングモールの自動ドアから外へ出ようとした彼女に思いきって声をかける。
彼女のためとはいえ、「一緒にいるその男、エイリアンですよっ!」って言ったら多分、いや絶対、俺の方がエイリアンみたいに思われるな。
完全に不審者扱いされるのが目に見えている。
「あ、あの」
なんて言えば不審に思われないだろう…なんて考えてたら頭が真っ白になって、ただ綺麗な女の人を引き止めただけの大学生男子の図になってしまっている。 何か、何か発言しなければっ。
「こんなところで会うなんて最悪ですね」
綺麗な女の人と一緒にいた男は心底嫌そうに、俺の隣にいたフラフを見下ろした。
「やあコスモス、久しぶり」
「あら、知り合いなの?」
「同郷のエイリアンと遭遇してしまったようです」
すると、綺麗な人は綺麗に笑って俺をまっすぐに見ると「じゃあ君は居候されてる子ってことね」と驚くわけでもなく落ち着いて言う。 落ち着いていられないのは俺の方だ。どういう状況なんだろうこれ。
「この子が来てから…」
「ダンデライオンフラフだよ。フラフって呼んで」
「私は野薔薇蝶々よ。フラフ君が来てから困惑することも多いでしょう?。よかったら相談とか不安なことがあれば、私でよければ聞くわ」
野薔薇蝶々と書かれた名刺には、電話番号と連絡先が書かれていた。ちょっとドキドキしながらその名刺を受け取ると、彼女はコスモスと呼ばれたエイリアンの男とショッピングモールを去った。
「まじか…」
「残念だけど、デートの誘いじゃないと思う。でもまた会いたいなぁ」
「いや違う」
あの人、野薔薇さん?は嫌々居候を許してるわけじゃなさそうだった。相手はエイリアンだぞ?、フラフの居候をなんだかんだ許してる俺も大概だけど、あの人はどうしてエイリアンと一緒に普通に暮らせてるんだ? わからない…
「なるほど…それは僕もわからない」
「おい心読むなって言ったよな」
「僕約束守らないから」
「飄々と言うんじゃねえよ」
岳春はモヤモヤとした気持ちでフラフと共に家路を辿った。
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