第6話 そんなことってある?⑥

「一番の理由としては、世話のし甲斐がある方を主にしたかったからです。星が消滅することがわかっていた我々は、各々特技で地球人住居へのお世話になることを前提とした暮らしをしていました。居候のための準備、とも言えます」


「ほう…?」


「私の特技は家事全般。つまり居候先として相性がいいのは家事の苦手な方、というわけです」



お前家事苦手だろ、と穏やかに微笑んだ地球外生命体にナチュラルにディスられているわ。

家事が出来ないわけじゃない。本気を出さないだけ。出来ないんじゃないわ、うん。だって出来るもの、やらないのはめんどくさいから。



「生まれ故郷の星が滅びてしまったことに関しては気の毒に思うわ」



ティーカップなるものが自宅にあったことも忘れていた蝶々は、優雅にソーサーへカップを戻して話を続けるコスモスに向き直った。



「もう一つの理由。これも大事なことなのですが、あなたは居候先にぴったりの条件をクリアしていたんです」


「条件?」



嫌な予感がするより先に尋ねてしまったことを後で呪う返答が返ってきた。



「お見受けしたところ、貴女は年齢=恋人がいない歴。一人暮らしで生計も安定しています。しかし家事が面倒で堕落ライフを送っていらっしゃる。最高の物件です」



喧嘩を売られているのだろうか。

まずそんな情報どこで手に入れた?。くそ、地球外生命体を甘くみていたわ。



「私が居候していても修羅場にならず、地球に戸籍がなく働けない私を養えるだけの財力もある。ですが何よりも、こんなにも家事の出来ない方をお世話できるのは腕がなります!」



綺麗な顔で何を言うのかと思えば、随分なことをペラペラと言ってくれるものだ。

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