僕の彼女

田村隆

僕の彼女

僕の彼女はかわいい。世界で一番美しいし愛している。

 こう言うと、他人は何をのろけているのだと思われるかもしれない。でも、事実なのだから仕方がない。

 じゃあ、どこが良いのと問われればすぐに言える。

 まず、笑い顔がいいことだ。いつも、満面の笑みで僕を見ていてくれる。もちろん、彼女だって機嫌の良い時ばかりではないはずなのに常に笑顔でいる。なかなかできないことだと思う。

例えば、ある時、僕が料理で失敗した時も笑っていてくれた。

 そのうえ、おしゃれでスタイルがいい。そして、いろいろな服を持っている。また、ファッションセンスも良いので見ていて飽きない。常に新しい服で僕の目を和ませてくれる。

 そして、一番すごいと思うのは、彼女の仕事は多くの人に見られる職業だ。

本当にたくさんの人の目にさらされる。しかも、その人々から様々な注文をされる。

それを完璧にこなさなければならないのだ。

 僕なら、絶対できないし、そんな多くの人々の前に立ったら、顔は青くになり足が震えて仕事にならないと思う。

 しかし、彼女はそんな大変なことを笑顔で完璧にこなしてしまう。なかなかできないことだと思うのは僕だけだろうか?

 そんな、仕事では完璧で完全無欠と思われがちな彼女だが、しかし、それ以外が、全然何もできない。はっきり言えばポンコツ女と言っていいくらいだと思う。

 まず、料理や洗濯ができないのだ。彼女は、きれい好きだが料理・洗濯が苦手だと言っていい。いや、苦手というよりまったくできないと言っていい。だから、料理と洗濯は僕がしている。

 ちなみに、僕は両方とも得意だ。だから、苦にもならない。

 次に、おしゃれで人前にたつ仕事なのにお風呂が嫌いなのだ。こう書くとおかしいそんなことあるわけないと思われるかもしれないが事実だからしかたがない。彼女は水が嫌いだなので、一人で入ることが怖くてできない。

 だからしかたがないので、僕が一緒にお風呂に入る。そして、彼女の体も僕の手で念入りに洗うのだ。

 そして最もポンコツなのは、自分で起きあがることができないことだ。一度、寝てしまうと起きあがることができない。そこで、僕が、優しく起こしてあげるのだ。

 こう書くと、ポンコツでどういう彼女だと思われるかもしれない。

 しかし、そのマイナスな面を含めて彼女が大好きなのだ。できれば彼女と一生一緒にいたいと考えている。こんな僕は変だろうか?


「お前これ本気か!?彼女って?その人形のことだろ……」

僕が書いた紙拾って見た友人は言った。

「ほっといてくれ!!彼女はぼくの最愛の人だ」

僕は、最愛の人を手にして叫んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕の彼女 田村隆 @farm-taka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ