ぬいどり

勝利だギューちゃん

第1話

「これ、代わりに持って行って」

「うん」


彼から、ぬいぐるみを渡された。

見たことのないぬいぐるみ。

彼の、オリジナルらしい。


この世で、ただひとつの物。


彼は私のクラスメイト。

でも、今は重い病気になり、長い間病院で過ごしている。


正直・・・


なので、修学旅行は欠席となる。

「僕の代わりに連れて行って」

そう、ぬいぐるみを託された。


「そのぬいぐるみ、どうしたの?」

「彼に頼まれて・・・」

「〇〇くん?」

「うん」


彼が病気なのは皆、知っている。

そして、ぬいぐるみを作るのが趣味なことも・・・


このぬいぐるみと、いろいろな所へ行った。

そして、可能な限り、一緒に写真撮影をした。


いわゆる「ぬい撮り」


まるで彼が一緒にいるようだった。


そして、修学旅行を終えて、帰路に着くと、彼は既に旅立っていた。

私は悲しみに暮れた。


彼の仏壇には、あのぬいぐるみを置いた。


そして、写真を見なおしてみると、そこにはぬいぐるみでなく、彼の姿が写っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ぬいどり 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ