僕の得意なこと

Sui

僕の得意なこと

 リアルなぬいぐるみを作りたい。それをたくさんの人々にお届けしたい。それで、たくさんの人を笑顔にしたい。

 僕は昔から言ってましたよね。

 ぬいぐるみを作ってっていくと決めたあの日から、僕は一日たりとも無駄にしないで生きてきました。

「なんでそんなこともできないの? 」って昔はよく言われました。けれど、今ならそんなこと言われないですよね?


 それでこれ、最近の力作を見てくれませんか?

 これ、なんの動物だと思いますか?


 そう、羊。

 ここまでリアルに作ったら羊だってわかってもらえますよね。

 いやぁー、本当によかった。

 頑張った甲斐があったと言うものですよ。


 よく見てください、この素材。ちゃんと本物の毛を調達して作ったんだよ……、ですよ。

 本当は中身も見せてあげたいんですけどね。さすがに切って見せると、縫うのが手間なんで今は見せないですが……。

 臓器も作って中に入れてるんだよ、ですよ。

 どうですか? このこだわり。

 ちゃんと信念の持った良い子になりました。


 それで、今度は人のぬいぐるみを作りたいと思ったわけなんですが……。

 皮膚なんてすぐ腐るだろうから、今から作るぬいぐるみの寿命なんて大したことないと思うんですけどね……。

 それでも、作るなら徹底的に作りたい。

 やっぱり中途半端は良くありませんよ。

 人生、どんな時にもであることが、僕のポリシーなんでね。


 それでですね……。僕は日々考えていたんです。

 どうすれ最高傑作が作れるのか……。


 それである日、僕ひらめいちゃいました。

 

 それなら臓器も本物を使おうと。

 ごめんなさいね。本当は皮膚を剥ぐだけのつもりで計画していたのですが……。

 臓器も本物の肉を使って作りたいので、完成品を見せてあげることができないというのが、僕の唯一の心残りかな……。

 最後の親孝行ができそうにないことは、許してね。


 それでも、ねえ?

 僕すごいでしょ、褒めてくれますよね、お母さん?



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