果てぬ戦場の物語

たぴぴ

第1話 開幕

戦場、それは命の奪い合いが起こる場所である。

今までにも数えられない程の戦いが巻き起こり、多くの血が流れ、幾人もの死者が出たであろう。

弱肉強食、これこそが戦いにおいて絶対であり不変の真理でもある。


そしてこれより訪れるは激動の時代。

いまだかつてないほどの戦いが巻き起ころうとしていた。

これはその激動の時代、数多の戦場を戦い抜いた多くは語られぬ英雄たちの物語。









「おーい、アズマくーん聞いてるー?君たちが村の外に出たいって言うからこうやって授業してるんだよ?」



あっやべ、考え方してた。サラさん今何の話してたっけ...?


「ごめんサラさん。ちょっと考え事してた。」


「もう!まだ話し始めたばっかりだよ!?あのマイペースなマズ君ですらまだちゃんと聞いてるのに。」


「え、なんで僕に飛び火したの?」


「そりゃ日頃の行いだろ。気分でその日畑仕事するかどうかすら決めちまうマズが毎日真面目に農業やってるアズマより授業に集中してんだ。現に俺も未だに目を疑ってるしな。」


「辛辣すぎない?僕意外とこういう身になる話は好きなんだよね。どう?ティオラは僕にそんなイメージない?」


「ごめんね、私もテニトと一緒でマズがちゃんと授業受けてるのびっくりしてる側だから...。それより私はアズマが授業中に考え事してる方が気になるんだけどどうしたの?」


「どうって、今日の昼には祝福の儀があるんだぞ?そこで神様から祝福を与えられて明日にはこのカララ村を出るんだ。気にして当然だろ?逆になんでお前らはそんなに落ち着いt『はいはーい、4人ともそこまで!この後のことが気になるのは分かるけど今はこっちに集中して。』...はい。」



「そんなに長くはならないし大切なことだから、最初から説明していくよ。まずは職業について。君たちの目指す戦闘職は大きく分けて2つあるのは知ってるよね?1つは王都を中心に活動する騎士団、もう1つは魔境、ダンジョンなどを中心に活動する冒険者。君たちがどちらになりたいのかは知らないけど、もし騎士団に入りたいのなら必ず戦闘力が必要になることを忘れないで。」


なるほど...騎士になるには戦闘力が必須になってくるのか。俺とマズ、テニトの目標は騎士団に入ることだから攻撃系統の魔法、アイテムが欲しいな。



「次に戦うための魔法とアイテムの説明をするね。これはみんな知ってると思うけど18歳になったときに教会で受けられる祝福で与えられるものよ。魔法とアイテムが1つずつ、これが私たちが魔物に対抗する手段。でも君たち魔法の種類については知らないんじゃない?」


「種類?属性じゃなくて?」


「そう、種類。ティオラちゃんの言う属性とはちょっと違うのよね。魔法には通常型魔法と特化型魔法がの2種類があるの。」


「「「「通常型と特化型...?」」」」


初めて聞いたな...俺もティオラたちと同じで魔法の違いは属性しか知らなかったぞ?


「通常型魔法と特化型魔法の違いは分かりやすく言うなら『威力』と『自由さ』かな?通常型魔法は生活の中で使えるような魔法から攻撃に使えるような魔法まで様々なんだ。対して特化型魔法は攻撃専用と言っていい程の威力を持つ魔法だよ。魔物相手に戦いを優位に進めたいなら私は特化型魔法がオススメかな?でも特化型魔法を与えられる可能性はかなり低いらしいし通常型魔法でも戦えはすると思うんだけど。」


サラさんは戦いについてはあんまり詳しくなさそうだな。


「サラさん、もし通常型魔法の使い手と特化型魔法の使い手が戦うとしたら通常型魔法の使い手にはほとんど勝ち目がないの?」


「うーん、戦い方次第じゃないかな?多彩な技を使えば通常型魔法の使い手でも勝てると私は思うんだけど...。あ、でも通常型魔法の使い手が特化型の魔法を真似してもあまり意味はないよ。形は似せれたとしても威力があまりにも違うから。もし使い手に相当な実力差があれば通常型魔法が特化型魔法に勝つこともあるかもしれないけどそれほど実力がある人ならもっと上手な戦い方をするんじゃないかな。ただ同じくらいの実力の通常型魔法の使い手と特化型魔法の使い手が真っ正面から戦うとなると...マズくんの言う通り勝ち目はほとんどないと思うよ。」


なるほど...柔軟な発想が得意なやつは特化型魔法より通常型魔法が戦える可能性すらあるのか。俺はどっちの方がいい?こうやって考えることが多いから通常型か?


「アズマはどっちがいいんだよ?俺はあんま考えんの得意じゃねーからシンプルな属性の通常型か特化型だとありがたいんだけど。」


「ん?俺か?どっちかっつーと幅広い戦い方のできる属性の通常型か特化型だと嬉しいな。」


「やっぱアズマも特化型は欲しいのか。」


そりゃできるだけ威力があるに越したことはないだろう。上手く使いこなせるかは別として。


「あ、ちょっとみんなストップ!魔法の属性について言うのを忘れてた!」


ん?属性?


「属性によっては通常型、特化型のどちらかが確認されてない魔法と通常型、特化型の両方が確認されている魔法があるの。例えば風系統の属性だと通常型は風魔法、特化型は竜巻魔法みたいに明らかな強弱があるんだけどそれが確認できない属性もあるみたい。この辺は私も詳しくないからちゃんとした説明はできないけど...。」


その辺は俺たちが今理解するには難しいな。たくさんの経験を得て色んな魔法と出会ってから学んでいくしかないか...。






「サラさん!そろそろアイテムについて聞きたいです!」


「お、いいよー教えてあげる。君たちにとっては魔法よりこっちの方が気になる、というか不安要素だろうし。」


そうなんだよなぁ、魔法は最悪使い辛い魔法をもらったとしても戦えないことは滅多とないと思う。少なくともカララ村の人たちに全く戦えない魔法の人はいなかった。ただアイテムは違う。もらったものによっては騎士団や冒険者を目指すことすら叶わないものもある。俺たちが不安に思ってるのはそこなんだ。


「祝福としてもらえるアイテムはね神様が人間の発展のためにくれるものなの。これがアイテムが武器だけじゃない理由だよ、人間が魔物に対抗するためだけじゃない。まず武器以外のアイテムだけど多いのは農具だね。次に料理道具とか農業以外に使う道具。あと少数だけどどれにも当てはまらないアイテムがもらえることもあるらしい。武器をもらえるのはおよそ半数くらいかな?」


「武器もらえるのは半数か。思っていたよりは多いな。」


「アズマが低く見積りすぎなんだよ!今のカララ村に武器を持ってる人が少ないのは武器をもらった人たちが村を出ていったとかじゃないの?」


「ティオラちゃんの言う通りだね。武器をもらった人はカララ村を出ていっちゃってるからいないの。」


「武器をもらえなくても堂々と村を出ていきそうなのが1人いるけどねえ。」


「俺か!?俺のことを言ってんのかマズ!?」


「そりゃーテニト以外にはいないよ。実際武器じゃなかったらどうするのさ。」


「農具だろうと俺は騎士団に入るか冒険者になるぞ。」


「農具持って戦うとか端から見たら農民一揆だよねそれ。」


「「農民一揆...ふふっ」」


「誰が農民一揆だ!?お前らも今笑ったろ!?」


「笑ってない笑ってないよ?...ふふふっ、いいんじゃない?鍬とか?」


「ははははっ!つなぎで麦わら帽子かぶって鍬を使う騎士とかすぐ有名になれると思うぞ?」


騎士団からはネタにされるだろうが少なくとも民衆からは大人気だろうなあ!


「ぷっ...ふふっ...もうやめてよアズマぁ!せっかく、せっかく我慢してたのにぃ!あはははは!」


「なんでだよ!?なんで騎士団に入ったのに俺隊服もらえてねえの!?あとティオラ!ツボんな!」


「はっはっは!テニトのガタイの良さでなら似合わないことはないと思うぞ?騎士団のカッチリした隊服よりはな。」


駄目だ...想像したら俺も笑いが込み上げてきた。


「やっぱりテニトはいじりやすくて面白いねー。」


「事の発端お前だけどな。」


「はいはいごめんねー。」


「じゃれてないで次に進むよー!!」


「あ、サラさん1ついい?」


「お!テニトくんから質問とは珍しいね!いいよいいよ!」


「実際に農具で戦ってる人いるの?」


「流石に無謀だからいないと思うよ」


俺もそう思う。






「最後に教えるのはアイテム全てに共通する特徴だよ。もらえるアイテムには色んな種類があるけど共通する特徴が3つあるの。1つ目は壊れない。アイテムは壊れたり変形することがないって言われてるの。もし弓なら引き絞ったときにしなりはするけどそのしなりによって壊れることはないってこと。2つ目は収納について説明するよ。これは簡単、頭のなかで念じるとこで出したり消したりできるの。どこにあっても消した後出すと次は目の前に出てくるから盗難とかは心配しなくていいよ。あと、念じれば装備した状態で出すこともできるから使い分けることもできるみたい。3つ目は他の人のアイテムは使うことができない。使おうとしても消えちゃうからね。」


うむ、これは俺たちは3つとも知ってたな。村の人たちにアイテム見せてもらったときに教えてもらったやつだ。


「じゃあ、私からの授業はこれでおしまい。アズマ君、マズ君、ティオラちゃん、テニト君、戦闘職はDランクの魔物を倒せてやっと1人前と呼んでもらえる厳しい職業。怪我をするなとも無茶をするなとも言えない。でもこれだけは言わせて。絶対に自棄にはならないで。もし自棄になるくらいならカララ村へ帰ってきてね。私たちはいつでも帰りを待ってるから。」


「「「はい!!!」」」


「お願いね。」


「あの...サラさん...。」


「どうしたのティオラちゃん?」


「私戦闘職希望じゃないです。」


「あ、ごめん。」


「ティオラは王都で自分の店を持ちたいんだっけー?」


「うん、料理のお店を開きたいの。」


ならアイテムは料理道具がいいのか。魔法は...どんなのがいいんだろ?料理魔法?


「さ、雑談はそこまでにしてみんなで教会に向かうよ。もうすぐ祝福の儀式が行われる時間だからね。」


俺はどんな魔法とアイテムを授かるのかな?







「では最後にアズマ君、前へ。」


「はい。」


神父さんの指示に従って俺は神様の像の前まで行き祈りを捧げる。既にティオラ、マズ、テニトは儀式を終え教会を出ているので残っているのは俺だけだ。


神様仏様。どうかどうにかいい魔法、いい武器をお願いします!心の中でそう祈っていると心の中にふと浮かんでくるものがあった。



―――――――――――――――――――――


           魔法

        金属魔法(通常型)


          アイテム

           籠手


―――――――――――――――――――――



いやどうだこれ!?


ちょっと癖が強くねえか!?















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投稿練習です

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