第3話


 「三軒茶屋DOGGY DOGS」

           (後編)


          堀川士朗



この店は、ラーメン屋兼風俗店だったのだ!


他の客がどんどん女の子を指名していき、別室でイチャイチャパラダイスにふけっている。

なんといかがわしき事か!

僕はキリキリと胃が痛くなってきた。

無情だ。

無常だ。

虚しい。

焼肉ラーメンまだかな。


「さぁ~あ、お待ちかね!花魁(おいらん)登場タ~イム!」


キモノを着た花魁がチョンマゲの傘持ちと提灯持ちを従えて店の入り口から登場して、しゃなりしゃなり歩いていく。

客の男たちの興奮がピークに達する。

花魁の生着替えタイムとなった。


ズンダカダンダンダンダンダン!

ズンダカダンダンダンダンダン!

プワ~ンパパラパラパララ~ン!

(演奏、東京スキゾパラノキッズオーケストラ)


マイクロビキニ姿になった花魁とチェキで写真撮影した。

一枚1000円。

僕はピースをしたが、ちょっと照れくさかった。

花魁は客の男に指名されて、別室へと消えた。


イチャイチャパラダイス。


呆れて僕はカウンターにいる男店員に聞いた。


「ねえまだ?」

「パードン?」

「まだ僕の頼んだ焼肉ラーメン来ないの?」

「そこになければないですね」

「……うぐっ。じゃ、じゃあ。僕はもう一枚焼肉ラーメンの食券を買いますから。それで作ってよ、お願いだから!」

「駄目です。帰って下さい。お帰りはあちら。この馬鹿野郎。アスホール」


僕はその瞬間、キレた……!

カウンターを乗り上げて男店員と大乱闘。

8000万円の入ったカバンを背中に背負いながら、僕は超人だと自分に言い聞かせて闘った。

襲い掛かる男店員たち!

ビール瓶で次々と男店員たちをなぎ倒す。

あ!そうだった!僕はカバンにライフル銃を入れていた事を忘れていた。

銃を取り出して撃つ。

三点バースト!

銃撃戦。

向こうもライフル銃で応戦してきた。

椅子やカウンターが銃弾で飛び散る。

巻き添えを食った客たちが被弾し、命を落とす。

知るものか!

多勢に無勢。

万事休すだ!

絶体絶命だ!

スーパーヒーローが現れて僕を助けてもくれない!

死んだら。

死んだら、人生が終わる!


僕はあっさりと観念してカバンから退職金8000万円を慰謝料として店長に渡した。


無一文となった僕は店をあとにした。



『三軒茶屋DOGGY DOGS』。


また行きたい。



           オワリ



    (2022年1月執筆)


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三軒茶屋DOGGY DOGS 堀川士朗 @shiro4646

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