第20話
食事も終わり、そろそろ帰宅時間になった頃、ウィスタリアは気になっていたあのネックレスの事を聞いてみた。
「そういえば、ヴィヴィアンヌおば様のお義母様がしていた赤のネックレスってとてもステキでしたね。とても高価そうに見えたのに普段使いをしているんですか?」
高価な装飾品は普段は仕舞っている事が多い、普段使いに身に着ける物はそこそこの宝石なのだ。
「え?ネックレス?」
「赤い宝石と周りにダイヤが装飾させているネックレスです」
「ああ、最近義母が気に入ってしているネックレスのことね。あれはそんなにしないものよ。アンティーク好きの義母が買ったものではないかしら。社交界のパーティーでは身に着けられないくらいの安値なものだと思うわ」
「あれ?そうなんですか?」
モヤモヤ度は関係なかったのか…
「ええ、パーティーでは外して別の華やかなものにして行くから」
「そうなんですね。素敵だと思っていたから、私見る目ないのね」
「うふふ、義母は喜ぶわね」
ビヨンセとウィスタリアは馬車に乗り込み帰宅する事になった。
「ウィスタリア、いやだわ。あんな安値のネックレスをいいものと間違うなんて教養がないと思われてしまうわよ?」
「ごめんなさい、キレイだと思ったから…」
今まで失敗はなかった。ウィスタリアは宝石に興味がないのでいつもモヤモヤ度で見定めていたのに今回は失敗した。
ネックレスは赤い石がひとつ在って周りに小さなダイヤモンドが周りに付いているものだった。見栄え的にはそんなに悪くないと思うのだが、誰が見ても安値なものらしい。
▽
▽
「ウィスタリア、昨日のお見合いどうだった?」
次の日の朝、マリアがウィスタリアの代わりにじゃがいもの下ごしらえをしていた。たくさんあるじゃがいもが次々に皮はつるつる剥かれ床に落ち、実は大きなタルに移動している。
魔力が多い人は一振りで皮むきぐらい終わらせる。マリアのような生活魔法くらいしか出来ない魔力の少ない平民は一個一個皮を剥がなくてはならないから時間がかかる。しかし、ウィスタリアの場合はもっと手間が掛かる。仕舞っていた年代物の刃を手に持ちじゃがいもを回すという手作業でする方法しかなかった。
「昨日はありがとう、マリア。お見合いは失敗よ。当然ね」
「はははー!やっぱりねぇ、今日はサボるんじゃないよ!」
「はぁい」
説明が面倒なのでお見合いだったとした。貴族の話なんぞを平民が聞いた所で意味がないのだ。ウィスタリアだって貴族の娘というだけで両親が死んでしまえば平民になる。
そんな時は親族や兄弟が後見人として貴族での生活は出来るものの兄や弟の妻がそれを許すかどうかも分からない。女性の立場はやはり危うい。
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