第16話
ベゴニアはウィスタリアからモヤモヤの事を詳しく聞きたがっていたが、泉に到着してしまった。少し崖のようになっている所の隙間に1mほどの小さな水が溜まっている場所があった。兄は皮袋に水を摂取し持ち帰った。
城にいる数人の鑑定士に見て貰うようだ。
ベゴニアは皮袋を見ながらこれが魔法水ならばと、緊張していたがウィスタリアは次の茶会の話をしていた。
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水を摂取して数日たった頃、母のビヨンセからメッセージが届いた。休みの日に家に寄ってほしいと書いてあった。母が茶会以外の時に会おうとするときは大体、見合い話の時だ。
「最近ではめずらしいな見合い話でもあるのかな?」
マリアに話をし、3日後の夕方に顔を出す事にした。マリアもニヤニヤして「お見合い話かい?久しぶりだねぇ」と言っくる。恒例となっているのだ。
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「お母様、どうしたの?なにか急な事?」
どうせ、見合い話だろうと思ってみてもトボケて見せる。
「お帰り、ウィスタリア」
出迎えてくれた母は機嫌がいい。やはり見合い話か…
「実はウィスタリアに相談したい事があって…」
母ビヨンセはウィスタリアに近づいて腕を取った。
「相談?え?私に?」
お見合い話ではないようだ。
「ええ、そうよ。あなたは頼れるこの家の長女ですもの。ベゴニアだってバイオレットだって、ピアニーだってあなたという姉弟がいて今があるのよぉ」
すごい持ち上げ方である。
「お母様、言い過ぎだわ」
ちょっと怖くなったウィスタリアは組まれた腕を外した。
「そんな事ないでしょ?最近でもベゴニアの栄養剤だって…バイオレットの時もよ。あなたは人の背中を押すのが上手いのね」
そんな自覚ない。
母ビヨンセはウィスタリアを座らせ、紅茶と菓子を出した。
こわい…
「お母様、それでご相談とは…」
「覚えてる?ほら、ピアニーが「父や兄にはギフトがあるのに僕にはない」って、拗ねてしまった時があったでしょう?」
唐突に昔はなしが始まった。
「…お母様?」
「ギフトなんて運でしかないのに、どんなに説明しても分かってくれなくて大変だったじゃない?」
「え、ええ」
「母である私さえも気が付かなったのに、ウィスタリアはきちんと弟を見ていたわ」
「あぁ、ん、そうだったかしら?」
ピアニーのギフトはテイムだがテイムのギフトは見つけにくい。そもそも近くに馬くらいしか動物がいなかった。馬もいつもは馬小屋にいるので触れ合う事はない。貴族になれば余計に触れ合わない。そのうえ幼い頃のピアニーは病弱で寝込んでいる事が多かった。余計にテイムだとは気が付かない。本人も分からない。
しかし、ピアニーの部屋の窓にはいつも小鳥が数羽とまっていた。そして窓を開けて鳥に向かって話をしている事があった。それをメイドから聞いた母は鳥と話をする息子を哀れに思ったそうだ。
体に障るからと外に出る事も許されず、学校にはなかなか行けないから友も出来ず、鳥に話しかけるぐらいしか楽しみがないのだろうと思ったという。そしてその頃から世間から兄と比べられて反抗期にもなっていた。しかし、小鳥から好かれるそんな弟をウィスタリアは羨ましいと思った。
「今日もピアニーは鳥や時折遊びに来るネコ達と楽しそうに話をしていたわ」
母は家族のディナー中にそんな事を言い出したウィスタリアにぎょっとした。ビヨンセは息子のそんな奇行を父オリバーには黙っていたのだ。
場がシンと静まり変える中、ウィスタリアは続けて言った。
「まるでテイマーみたいだわ、いいな」
と、言ったらしい。本人は覚えていない。
テイム自体もよく分かっていないギフトだった。動物を操れる、動物を支配する。そんな物だと薄っすら知識があったくらいだ。しかし、ピアニーは話しかけているだけで支配も操れてもいない。ウィスタリアはその時どうしてテイマーと言ったのかは覚えていない。
家族全員がハッとした。ピアニーも自分に可能性がある事を知った。それからは勉強も頑張り体も丈夫になっていった。ピアニーは大好きな動物の事を多く学んだ。そしてやはりテイムのギフトがある事が判明する。
ある程度予測できるギフトは学校などで定期検査をするのである。検索をさせて見たり、鑑定をさせて見たり、錬金をさせたり、兄のような何かの特価系ならば違う実験を皆するのだ。
しかし、ウィスタリアやビヨンセ、バイオレット、ピアニーはそれらの能力は発揮しなかった。
ピアニーはウィスタリアの言葉を覚えていて頑張っていたと母言うのだ。
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