進化した?
「おいおい、こいつもう進化するのか?」
「すごぉーーーい、私のウルフィちゃんすごぉーーーい!」
「進化? なんで? まだレベル五だよ?」
前世では進化ってそんなに簡単には出来なかった気がする。
これも革新進化っていう能力の影響なのかな? どんな姿になるんだろう。
あれー、なんか目の前が暗くなるなぁ。ご主人が呼ぶ声が聞こえる。
「おーい! おーい!」
「はれ? 目の前が暗くなったけど。まだ真っ暗だ。
進化したの? 俺」
「これからだ。革新進化が行われるのは。さぁ進化を始めるぞ」
「はい? 進化を始めるってあんた誰さ」
「進化の案内者、ニャトルにゃ」
「にゃ?」
「進化の案内者ニャトルにゃ!」
「にゃー!?」
「いいからさっさと選べ」
「また普通の喋り方に戻った!?」
「さっさと選ぶにゃ!」
「わかったよ。でも選ぶって言われてもどうやって」
「革新的な進化をするには想像力が大事。想像から革新が生まれるにゃ」
「へぇ。想像ねぇ。じゃあ人で」
「全然革新的じゃないにゃ! しかも人に突然なれるわけないにゃ!」
「じゃあどうしろっていうにゃ」
「真似するにゃ!」
うーん、そうだなぁ、想像が革新ねぇ……といっても人はだめ。それに準ずるものも
きっとだめだろうしなぁ。
「それじゃ魔王で!」
「あのねえ。君はウルフィっていう小さい狼だったんだよ? たった一回の
進化でなれると思う?」
「あれもだめ、これもだめ。どう進化すればいいの? とりあえず大きくなればいいの?」
「それじゃ革新とは言わないにゃ。君は何かしたい事とかないのかにゃ?」
「パンが欲しいパン食べたい」
「じゃあそれに準じて進化をすればいいにゃ」
「うーん、あの世界にパンは今のところ無いし。
作るにしても、手がないと作れないしなぁ。人はだめなんでしょ?」
「もう時間にゃ。……深淵の神々による祝福により、汝新たなる姿を映し出さん。
我はニャトル。汝の想いを受け入れ、革新的種族へ導かん。
革新進化にゃーー!」
「えー!? 何も決まってないじゃん! どうなるのー?」
パタッと真っ暗になる。俺は結局パンを作れるかどうか、それしか考えなかったよ。
くすん。こんなことなら色々考えておけばよかった。
あ……誰か呼ぶ声が聞こえる。ニャトルかな……
――――
「シロンちゃん、シロンちゃん! おーい! おーーい!」
「おいニャトルさん! そういうのはもっと先に言ってよー!」
「あー、よかったシロンちゃん起きたー!」
「ニャトルって誰だ? 夢でも見てたのか?」
「あれ? ニャトルって猫喋りの何者かがいませんでした?」
「いないよ? シロンちゃんパタッと倒れて寝てただけだよ?
進化出来た?」
「どうなんだろー? ご主人見てみて」
「よーし、鑑定!」
シロン
種族 ウルフィ 種族形態 ハンディウルフィ
性別 雄
年齢 一歳
レベル 1
耐久 15/15
魔珠 10/10
体力 6
力 7
器用 5
速 10
種族技 ワンハンド
習得技 異界召喚、行動経験、革新進化、????、
????、????、????、????
「は、ハンディウルフィ? シロンちゃん、ハンディウルフィってなぁに?」
「さぁ。わかりません。ニャトルに聞いてください」
「だからそれは誰なの!?」
「またレベル一に戻ってるな。ステータスは上がったままか。こいつは
大化けするかもな、ルビー」
「私のシロンちゃんは凄いんだから! よーし、このまま特訓だ!」
「ワンハンドって何だろう? 種族技ってどうしたら使えるんです?」
「魔珠を使わないと出来ないよきっと!」
「よーし、ワンハンド!」
目の前に小さい手が浮かんだ。頭の意思で動く! おおー。
凄いけど、出してると身体が動かせないや。動くと頭の中がパンクするよー。
グー、チョキ、パー。色々出来る! これなら片手作業が出来そう! やったね!
でも……これも長くはまだ使えないや。
「ごめんもう無理後よろしく」
「えー、もう!? 本当だ魔珠がゼロ。シロンちゃん燃費が悪い!」
「いやー驚いた。手を召喚する召喚獣なんて初めてみたぜ。あの手で武器使わせたら
強いんじゃないか?」
「それだ! ついにシロンちゃんが戦えるようになったね!」
「おなかすいたよー。パン食べたい」
結局魔珠不足を解消しないと全然動けないや。ハンディウルフィ。少しだけ役に立てるように
なったのかな。
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