鑑定

 身体を洗ってもらって綺麗になった。

 人に身体を洗ってもらうのは恥ずかしいけど

 ふさふさな毛に包まれた今ならそこまで気にならない。


 水は冷たいからお湯がいいんだけどな。 


 ルビー……ご主人は機嫌よく拭いてくれる。

 毛だらけだとそう簡単には乾かないので一生懸命ブルブル。

「冷たい! やったなーこいつめー! うふふっ」

「くすぐったいですって! 早く乾かないかなーって思ってやったの!」

「しょうがないなー、ちょっと疲れるけど。

空を漂う空気よ。万物ありて流れる風とならん。

導くは小風となり対象に吹け、リトルウインド!」


 おおー! ご主人の手先からそよ風が! 

 やってみようと思ったけどまた後ろ脚から崩れ落ちそうなので止めた。


 夏場の暑い時にこういうの欲しいな。

 使えないかもだけどさ。


 しばらくそよ風にあたり身体を乾かしてもらった。

 ふさふさもふっとした毛を触り主人も満足そうだった。

 そのまま抱えられrてスルクさんの元へ連れて行かれる。


「さー、シロンちゃんも一緒に鑑定画面を見てみましょー! おー!」


 気合を入れるご主人。一体俺にどんな力があるっていうのさ!? 

 心に胸を躍らせてステータス画面を待つ。はよ! はよぉー! 


「ちょっと待ってー、さっきので少し疲れたから甘い物食べてくるね!」


 おいー! そこでお預けはないだろう! 待てはやめて! 早く見たいの! 

 おーい! 



 お預けをくらったが暫くして戻ってきたご主人。

 改めて鑑定をお願いします。


「いい? 鑑定! えっへへ、凄いでしょー。この村で使えるの私だけよ!」


 ニューっとご主人の前に画面みたいなのが出る。


「おー! そっちに回れば見えるのかな?」


 俺はご主人側へ回りステータス画面を見せてもらった。


 シロン

 種族 ウルフィ 種族形態 リトルウルフィ

 性別 雄

 年齢 一歳

 レベル 1

 耐久 10/10

 魔珠  3/3

 体力  4

 力   2

 器用  3

 速   4

 

 習得技 異界召喚、行動経験、革新進化、????、

????、????、????、????


 おー! 凄い。自分の技を画面で見られるとは。

本当に異界召喚っていうのがある。

 行動経験て何だろう? 行動に伴い経験値が発生するって事かな? 

 革新進化ってのはよくわからないや。他は全部ハテナだし。

 魔珠ってのが多分エムピーみたいなものかな。

 これが低いから色々使えないし呼び出せないのかなー。

 セミ呼んでもすぐ消えるし。

 サイズとか能力によって呼び出せるかが決まるのかな?

 それなら……おたまじゃくしでどうだ! 


 おたまじゃくしよ、主人に降り注ぎ守れ! 

 ……ぽたっとおたまじゃくしが落ちてきた。


「キャーーーー! 何これ! またシロンちゃんの仕業ね! 

やだー! 気持ち悪いー! とってー!」


 おお! 本当に出た! 

 今度は声を出して……「おたまじゃくしよ、消えろ!」


 しゅっとおたまじゃくしが消える。やったぞ! 


「ご主人、魔珠って今いくつになってます?」

「えー? もう、びっくりしたなー。一になってるよ?」


 おたまじゃくしを短時間呼ぶだけで二も使うのかぁ。

 早いとこレベルを上げないと何も呼べないね……何か

いい方法ないかなー。 


 考えても良くわからないけど、今は能力がわかったから

いいかな。セミ以外も呼べたし! 今の魔珠が一しかないから何か呼ぶと気絶するかな。


 それも試さないとかぁ。やってみよう。

 もしこれが呼べるなら、俺の能力は広がる。


「スライム召喚!」

 ぽとっと一瞬だけスライムが出た気がした。

 本当に一瞬だけ出て俺は気絶した。

 ご主人の悲鳴が聞こえたような気がしたが気のせいだろう。

 やったー、俺の異界召喚。変な物も召喚できる……ぞ。






 再び意識を戻したら、ふかふか布団の上で寝かされていた。

 多分ご主人は俺からあまり遠くにはいないはず。

 何せご主人が移動すると俺もずりずりと移動してしまう。


 本来召喚獣って呼び出されたら登場するよな? 

 今の状態だと召喚獣っていうより付き従う獣だ。

 じゅうじゅう?焼ける音みたいでやだなー。


「ご主人ー? ルビーさんいませんかー?」

 俺は少し町を見たくてご主人を呼んでみる。


「あー、シロンちゃん起きたー! どうしたの?」

「少し外を見歩きたいんですけど、一緒じゃないと行けないですよね」

「うん、ギルドで登録するまではしまっておけないから

一緒に行くね! 村を探検だー! おー!」


 ギルドで登録すればしまっておける? どういう事だろー? 

 よくわからないけどそうなれば自由に動けるのかな? 

 ご主人に元気よく引っ張られて、ずりずりとルビニーラの家を初めて出る事になった。

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