この想いを貴女に

結煇

貴女に出会った

貴女が僕に話しかけてくれたのは本当に偶然だと思う。


発泡スチロールを切って鮮やかな色をつけ、売っていく。ただ、それだけの芸術家。

誰も見向きもせず過ぎ去っていくのに貴女は僕がつくったものに興味を示してくれた。


「これ、貴方がつくっているものなんですよね」

「そうですよ。僕がつくっているものです」


貴女の目には好奇心と興味が浮かんでいた。


「じゃあ、これ下さい」


貴女が選んだのはこの道で初めてつくった作品で、花に見立てて細かく切って暖色の赤やオレンジといった色に染めあげてあるものだった。


「…ありがとう、ございます」


まさか買って貰えるとは思わなかった。

金額を払って貰い、作品を貴女に渡す。

すると貴女が薄く笑いお礼をいった。


「こちらこそありがとうございます」


作品を大事そうに抱えながらもその作品を再度見て笑顔を浮かべる貴女に僕は不思議と胸が高揚した。


「あの!また、来てくださいますか?」


貴女は突然言われ困惑したでしょうか。

貴女はびっくりした表情を浮かべていた。


「…えぇ、また是非」


びっくりした表情から穏やかに微笑みを浮かべた。

正直な話、また来て貰えるかはわからない。

でも少しでも貴女と関わりを持ちたい。

誰も見向きもしない僕にやっと手を伸ばしてくれた人だから。

貴女の為に僕は頑張るよ。

だってこれが僕にできる精一杯のお礼だから。

また会えたら君に伝えたい。この──を。

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