第12.5話 千賀は、究極の言葉を私にくれた

◇前書き

えー、みなさまに悲しいお知らせと嬉しいお知らせがあります(言ってみたかっただけ)


まずは悲しいお知らせから!

第7話の頭に追記しましたが、なんとカクヨムのガイドライン違反を受けてしまいました……!

R15に収まるようにと思って、ややマイルドに書いていたつもりだったのに(感覚バグ)どうやらR18相当だったようです。

というわけで💖付きの回をすべて大幅に修正しました!(第9話にも💖を付けました)

今後の💖付きの回は全体的に少な目の描写になります!


そして嬉しいお知らせ。

そんな私がR18相当だと思ってがっつり書く回、読みたい方は居ませんか?

この度『ミッドナイトノベルズ』にてR18版を公開することにしました!

URLはこの小説の説明欄か、私の作者ページから近況ノートを見ていただければ!


カクヨムと差分のある箇所は💖付きの回だけですが、なんとこれまでに公開している💖付きの回(第9話含む)もR18して投稿しますので、すでに読んでいただいている方にもお得!

最新話までは毎日更新でアップしていくつもりなので、お手数ですがそちらも追いかけてもらえたら嬉しいです!


以上お知らせでした!

では今週もよろしくお願いしまーす!

────────────────

千賀ちか……」


 いつもの千賀は、あまり私の意見を直接的に否定することはない。

 それは単純に私に合わせてくれているだけかもしれないし、意見がほとんど一致してるからかもしれない。


 たまに違うことを考えていたって、こういう考えはどう?って提案してきたりとか、私はこう思うよってサラッと言うだけ。


 だから、こんなにしっかり否定されたような言い方をされるのは初めてで、少しだけびっくりしたような、心がズキッとするような。


 まぁ、私がここまで踏み込んだ話をすること自体あんまりなかったし、ちょっと神経質になってるのかなぁ。


「私はもう今更彩朱花あすかと離れて生きていく人生なんて想像つかないよ。それくらい本当に、他の人とはあり得ないくらいずっと一緒にいたから」


 それでも千賀の話は、私と一緒に居たいって内容だから、私自身を否定されてるわけじゃないのは分かってる。

 だけど、それはそうとして問題も残ったまま。


「言いたいことは分かるけどさ、じゃあ現実的な問題としてこんなのどうしたらいいの?」

「それは……」


 私は、半ば八つ当たり気味に投げかける。

 1人で考えたって、まじめに調べたって、どうしても離れ離れになる未来しか見つからないもん。


「私だって、会える時間が減るのはやだよ……」


 今までこんな相談したことなんて無かったのもあってか、もうかなり泣きそうな気分になってる。

 なんなら、すでにちょっとくらい涙も滲んでるかもしれない。


「この先一緒にいられる時間が今よりも減るとしても、それでも一緒に住んだり、その……付き合ったりとか。そういう風に関係を続けていくことはできるはずだよ。将来やりたいことがどうとかは、その延長線上で探しても十分選択肢はあるんじゃないかな」

「……うん」


 まだ心から納得しきれていないのが丸分かりな渋い返事。

 だってそれは、きっと段々お互い一緒に過ごす時間が減っていくタイプの未来だから。


 ここはもう本当に詰んでると思う。


「私からすればね、別々の道へ行って大学や仕事の生活をこなすうちに、彩朱花に誰か恋人ができるかもしれないとか結婚だってするかもなんてことを考えたりして、見えないタイムリミットを抱えながら生きていく方が辛いよ」

「う……。そ、それは私もそうかもだけど……」


 それは考えてなかった。

 私と離れ離れになるほど、千賀が別の誰かと一緒に過ごす時間が増えるのは自然な話だ。


 ……それはやだな。


「ねぇ彩朱花、そもそも本当にこの先そんなに一緒にいられなくなるものなのかな」

「え?それは……流石にそうでしょ、だって卒業した後の友達とそういう風になった事例なんて、ネットとかでいっぱい見たもん」

「それって普通の友達でしょ?」

「……あ」


 私たちは毎日ほとんどの時間を一緒に過ごすレベルの幼馴染。


 千賀の言う通り、もう私達は全然普通の友達なんかじゃなくて、一般的な友人関係や恋人達よりもずっと深い仲かもしれないけど……。


「今彩朱花とこうしてずっと一緒にいられるのが当たり前じゃないなら、私は無茶をしてでも、この先も一緒にいられるように頑張りたいよ」

「……でもやっぱり、この先の人生でのやりたいこととかはさ、どっちかに合わせたりしないでちゃんと自分の気持ちだけで決めるべき……だよ」


 やっぱり将来に対する不安が自分で思うより大きいのか、どうしても堂々巡りな考えで千賀を困らせてしまう。


「じゃあ、彩朱花には今やりたいこととか、夢はある?」

「それは……まだこれから考えるけど……」

「まだ無いんだったら、これから一緒に考えたって私は良いと思うよ。考えが合わなくてどっちかに合わせるのが辛い関係なら、そもそもこれまでこんなにずっと一緒にいることなんてできなかったと思うし、仮に合わせられないって思ったなら私達はちゃんと話し合える仲……でしょ?」

「うん……」


 確かにって思った。

 普段あんまり考えてないようで、こういう時に千賀はいつもちゃんと正しいって思えることを言ってくれる。


 だから今の私の返事は、漠然とした不安だけがまだ取り除けていない時の返事。


「それにね、私には彩朱花と離れ離れになってまで叶えたい夢なんてないよ。彩朱花と離れて生きていくのは想像できないって言ったけど、未来の私のそばに彩朱花がいない時点で、私は将来なんて考えられなくなるんだよ」


 その言葉に一瞬どきっとする。

 でも、ときめく気持ちのすぐ後にはまだまだ漠然とした不安が心を支配してきて、自分でもめんどくさい女だなぁって思う。


「それは……重すぎるよ。もうそれ、ほとんどプロポーズみたいな感じじゃん」


 千賀の言葉を冗談めかしてははっと笑う。

 めんどくさい女だなって分かっていながら、さらに構って欲しがりな返答をしてしまってちょっと自己嫌悪して、あぁそれもめんどくさい女みたいだなってループ。


 ……なんか千賀に不安を吐き出し始めてから、私ってほんとはこんなにネガティブな人間なんだってことをまざまざと思い知らされている。


 でも、そんな私の構って欲しがりなセリフに、千賀は──。


「ごめんね。でも私はそれくらい本気で彩朱花のことを想ってる。重たいことを言って本当にごめんって思うけど……それでも言わせてほしい」


 ふぅと息を吐くと、急に今までに見たことないくらい……卒業式の日に告白してくれたあの時でさえ見たことないくらい緊張した顔をしたから、私は俯いていた顔を上げて思わず目を見つめる。


 そして。


 ──千賀は、究極の言葉を私にくれた。


「私は彩朱花のこと、心から愛してるよ」

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